新NISAのつみたて枠と成長投資枠、どう使い分ける?基準は3つ

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「新NISA、つみたて投資枠と成長投資枠って、どっちをどう使えばいいんですか?」

この質問、ほんとうによく受けます。枠の名前が2つ並んでいるせいで、「両方きちんと使わないと損をするのでは」と感じてしまう方が多いんですね。

先に結論を書きます。答えは、多くの人は、つみたて投資枠だけで十分です。成長投資枠は、「つみたて投資枠では買えない商品を買いたい」「年間120万円では足りない」という人のための追加の枠だと考えてください。

2つの枠は、何がどう違うのか

まず制度の形を整理します(2026年8月時点)。

  • 年間の投資枠:つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円。あわせて年360万円まで
  • 生涯の非課税保有限度額:合計1,800万円。ただし成長投資枠で使えるのは、そのうち1,200万円まで
  • 買える商品:つみたて投資枠は、長期の積立・分散投資に向くとされる一定の投資信託などに限られる。成長投資枠は上場株式や投資信託など、より幅広い
  • 買い方:つみたて投資枠は積立での買付が前提。成長投資枠はまとまった金額を一度に買うこともできる

ここで見落とされがちなのが、2つ目の1,200万円という数字です。成長投資枠だけで1,800万円を埋めることはできませんが、つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることはできます。制度の設計そのものが、つみたて投資枠を軸に置いているわけです。

多くの人が、つみたて投資枠だけで足りる理由

つみたて投資枠の年120万円は、月に直すと10万円です。毎月10万円を、生活費や貯蓄とは別に投資へ回し続けられる方は、そう多くありません。

実務でも、「両方の枠を使ったほうがいいですよね」とおっしゃる方に毎月いくら回せそうかを聞くと、3万円や5万円だった、ということがよくあります。その金額なら、つみたて投資枠だけで何年も余裕があります。枠が足りないのではなく、枠が余っている状態なんですね。

もうひとつ。使わなかった年間の投資枠は、翌年に繰り越せません。「今年は120万円しか使えなかったから、来年は600万円」とはならない、ということです。枠を全部埋めることを目標にすると、生活を削ってまで投資に回すという、順番の狂いが起きます。

きいちゃんメモ

生涯の非課税保有限度額1,800万円は、値上がり後の時価ではなく、買ったときの金額(簿価)で管理されます。保有している商品を売却すれば、その簿価の分の枠は翌年以降にまた使えます。一度使ったら終わり、ではありません。

迷ったときの3つの基準

成長投資枠が要るかどうかの3つの基準

  1. 年120万円(月10万円)を超えて投資に回せるか
  2. つみたて投資枠では買えない商品を買いたいか
  3. まとまった資金を一度に入れたいか

1. 年120万円を超えて投資に回せるか

毎月10万円を超えて積み立てられる、あるいは賞与のタイミングで上乗せしたい。ここに当てはまるなら、はみ出す分の受け皿として成長投資枠が要ります。当てはまらないなら、この時点で成長投資枠を使う理由はありません。

2. つみたて投資枠では買えない商品を買いたいか

上場株式を自分で選んで買いたい、つみたて投資枠の対象になっていない投資信託を持ちたい。こうした希望があるなら成長投資枠の出番です。逆に「よく名前を聞く投資信託を、こつこつ積み立てられればいい」ということなら、つみたて投資枠の中で完結します。

3. まとまった資金を一度に入れたいか

すでに手元にある資金を、時間をかけずに投資したい場合、積立が前提のつみたて投資枠では入り切りません。ただし、一度に入れるかどうかは値動きをどこまで受け止められるかとセットの話です。金額が大きいほど、買う時期を分ける選択も検討したいところです。

3つとも「いいえ」なら、つみたて投資枠だけで問題ありません。1つでも「はい」があったときに、はじめて成長投資枠を検討すれば足ります。

成長投資枠を使うときに気をつけたいこと

成長投資枠は買える商品の幅が広く、そのぶん値動きの大きいものも選べます。「枠が240万円あるから埋めなければ」と考えると、自分では選ぶ理由を説明できない商品まで買ってしまいがちです。枠は義務ではなく、上限だと思ってください。

きいちゃんメモ

税金の面で1つだけ。NISA口座で出た損失は、ほかの課税口座の利益と損益通算できませんし、翌年以降への繰越控除もできません。利益が出れば非課税で有利ですが、損が出たときに使える救済はない、という点は知っておいてください。

よくある質問

つみたて投資枠と成長投資枠は、同じ年に併用できますか?

できます。同じ年に両方を使って構いません。どちらか一方を選ばなければならない、というものではありません。

使い切れなかった枠は、翌年に回せますか?

回せません。年間の投資枠は、その年ごとのものです。ただ、生涯の非課税保有限度額1,800万円のほうは何年かけて使っても構いませんから、あわてる必要はありません。

金融機関はあとから変えられますか?

原則として1年単位で変更できます。ただし、その年にすでに買付をしている場合、その年の変更はできません。手続きにも時間がかかるので、変えるつもりなら早めに動いてください。

松井証券

老舗のネット証券です。取引画面がシンプルで、投資信託の取扱本数も十分にあります。分からないことを電話で聞ける窓口があるので、最初の1口座としては迷いにくいほうだと思います。手数料や取扱商品は変わることがあるので、開設前に公式サイトで確認してください。

おわりに

新NISAの説明は、枠が2つ並んでいる時点でどうしても複雑に見えます。でも、やることは「毎月いくら投資に回すかを決めて、つみたて投資枠で積み立てる」。まずはこれだけで、十分に形になります。

成長投資枠は、その先で必要になったときに足せばいい枠です。制度を全部使い切ることよりも、続けられる金額で長く続けることのほうが、ずっと大事だと思っています。

お金まわりの小さな気づきは、X(@tax_kiichan)でも書いています。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。また、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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