青色申告で65万円控除を受ける条件は4つ|税理士がやさしく解説

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「青色申告にすれば65万円得するって聞いたけど、本当ですか?」

この質問、本当によくいただきます。答えは「条件を満たせば本当です。ただし、何もしないと65万円にはなりません」。

青色申告特別控除は、実は10万円・55万円・65万円の3段階に分かれています。同じ「青色申告」でも、やり方次第で控除額が6分の1になってしまうということです。

この記事では、65万円の満額を受けるための条件を、ひとつずつ確認していきます。

まず、65万円でどれくらい変わるのか

控除というのは、税金を計算する前の所得から差し引ける金額のことです。所得が下がれば、所得税も住民税も国民健康保険料も下がります。

たとえば所得税率が10%の方の場合、ざっくりこうなります。

  • 所得税:65万円 × 10% = 約6.5万円の減
  • 住民税:65万円 × 10% = 約6.5万円の減
  • 国民健康保険料:自治体によりますが、さらに数万円の減

合計すると、年間で15万円前後変わることも珍しくありません。所得税率が20%の方なら、その差はさらに大きくなります。「手続きを知っているかどうか」だけでこれだけ違うのが、青色申告のこわいところであり、おいしいところです。

65万円控除を受けるための4つの条件

条件1:事前に「青色申告承認申請書」を出していること

これが最初の関門です。青色申告は、申請した人だけが使える制度です。

提出期限は、その年の3月15日まで。新しく開業した年に限っては、開業から2か月以内であれば間に合います。

気をつけていただきたいのは、これが「前もって出しておく」書類だということ。確定申告の時期に「今年は青色でいきます」と言っても、その年の分には間に合いません。

きいちゃんメモ

期限を過ぎてしまった方も、来年分から青色申告にすることはできます。今年は白色でいくと割り切って、来年3月15日までに申請書を出しておきましょう。「忘れないうちに今すぐ出す」が正解です。

条件2:複式簿記で記帳していること

ここが実質的な本丸です。青色申告の控除額が10万円になるか65万円になるかは、ほぼこの条件で決まります。

複式簿記というのは、ひとつの取引を「原因」と「結果」の両面から記録する方法です。たとえば売上が入金されたとき、単に「10万円入った」と書くのではなく、「現金が10万円増えた/その理由は売上」というように2つの側面で記録します。

「簿記の勉強をしないと無理では」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードを連携するだけで、この形式の帳簿が自動でできあがります。

逆に、手書きの帳簿やExcelの入出金メモだけでは10万円控除どまりになるケースがほとんどです。差額の55万円を考えると、会計ソフトの利用料は確実に元が取れます。

条件3:貸借対照表と損益計算書を申告書に添付すること

難しそうな名前が出てきましたが、条件2をクリアしていれば自動的にクリアできます。複式簿記で記帳していれば、会計ソフトがこの2つの書類を作ってくれるからです。

やることは、確定申告書と一緒にこれらを提出するだけ。ソフト経由で申告すれば、意識せずに添付されています。

条件4:e-Taxで申告する(または電子帳簿保存)

ここが見落とされがちな最後のポイントです。

条件1〜3を満たしても、紙で申告書を出すと控除は55万円で止まります。残りの10万円を受け取るには、e-Tax(電子申告)で提出するか、電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。

現実的なのはe-Taxです。マイナンバーカードとスマホがあれば自宅から申告できますし、会計ソフトの多くはe-Tax送信に対応しています。税務署に並ぶ必要もなくなるので、手間としてもこちらが上です。

65万円控除の条件

  1. 期限までに青色申告承認申請書を提出している
  2. 複式簿記で記帳している(=会計ソフトを使う)
  3. 貸借対照表・損益計算書を添付している
  4. e-Taxで申告している

結局、何を用意すればいいのか

4つの条件を並べましたが、実務的には「申請書を出す」と「会計ソフトを使う」の2つでほぼ完結します。条件3と4は、ソフトを使っていれば流れで満たせるからです。

会計ソフトはいくつもありますが、個人事業主の方であれば次の2つのどちらかを選べば失敗しません。どちらも無料で試せます。

マネーフォワード クラウド確定申告

銀行・クレジットカード・電子マネーとの連携先が多く、取引の自動取り込みと自動仕訳が得意なソフトです。スマホアプリからも操作できるので、外出先で経費処理を済ませたい方に向いています。複式簿記の帳簿もe-Tax送信も、このソフト内で完結します。

やよいの青色申告 オンライン

会計ソフトの老舗・弥生のクラウド版です。画面がシンプルで迷いにくく、「操作を覚えるのに時間をかけたくない」という方に向いています。初年度が無料になるキャンペーンを行っていることが多いので、コストを抑えたい方はまずこちらを確認してみてください。

よくある質問

赤字でも青色申告にする意味はありますか

あります。青色申告なら、赤字を翌年以降3年間くり越して、将来の黒字と相殺できます。開業初年度で赤字になりそうな方こそ、青色申告にしておく価値があります。

副業でも65万円控除は使えますか

その副業が事業所得と認められる規模であれば使えます。ただし、雑所得に区分される場合は青色申告そのものができません。継続性があり、帳簿をきちんと備えているかが判断の分かれ目になります。

所得が65万円より少ない場合はどうなりますか

控除額は所得の金額が上限になります。所得が40万円なら控除も40万円までで、マイナスにはなりません。

おわりに

青色申告の65万円控除は、税制のなかでもとくに個人事業主に有利な仕組みです。それなのに、申請書を出していないという理由だけで受けられていない方が本当に多い。

まだ申請していない方は、この記事を読み終えたら申請書のことだけでもメモしておいてください。来年の自分がきっと感謝します。

Xでも税金とお金の話を毎日つぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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