こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「銀行口座って、いくつ持つのが正解ですか?」
意外とよく聞かれます。お金の管理でつまずいている方の口座を見せてもらうと、たいてい多すぎるか、少なすぎるかのどちらかです。
わたしの答えは「役割ごとに3つか4つ」です。理由を説明します。
1つだと、なぜ貯まらないのか
すべてを1つの口座でやりくりすると、残高を見ても「使っていいお金」がいくらか分かりません。
30万円入っていても、そのうち10万円は家賃の引き落とし予定、5万円は税金のための取り置き。実際に自由に使えるのは15万円かもしれません。でも画面には30万円と表示されている。
人は表示された数字で判断してしまうので、これだと使いすぎます。残高=使っていい額、という状態を作るのが、口座を分ける最大の目的です。
多すぎても管理できない
逆に、キャンペーンのたびに開設して7つ8つある方もいます。これも問題です。
- 全体でいくらあるか把握できない
- 使っていない口座に少額が眠り続ける
- 長期間動きがないと休眠預金の扱いになることがある
- 相続のときに家族が探すのが大変になる
最後の点は、実務で本当によく困ります。亡くなった方の口座を家族が把握できず、通帳を探して回ることになる。口座は少ないほうが、遺された人にやさしいのです。
おすすめの3〜4口座
1. 生活費の口座
給料が入り、家賃や光熱費が引き落とされ、日々の買い物に使う口座。ここは1つにまとめます。
給与振込に指定すると手数料が優遇される銀行が多いので、勤務先が指定できるならそれに合わせるのが得です。
2. 貯める口座
手をつけないお金を置く口座です。キャッシュカードを持ち歩かないのがコツ。引き出すのに手間がかかるほど、貯まります。
給料日に自動で振り替える設定にしておけば、意識しなくても貯まります。「余ったら貯金」は、ほぼ確実に失敗します。
3. 特別な出費の口座
毎月ではないけれど、必ず来る出費のための口座です。
- 固定資産税、自動車税、車検
- 年払いの保険料
- 帰省や旅行、家電の買い替え
年間の合計を12で割った額を毎月移しておくと、大きな支払いが来ても家計が揺れません。家計が苦しくなる原因の多くは、この「たまに来る出費」です。
4. 事業用(フリーランスの方だけ)
個人事業主の方は、これが決定的に大事です。
売上の入金と経費の支払いを1つの口座に集めておくと、確定申告の作業が別物になります。会計ソフトに連携すれば、その口座の動きがそのまま帳簿になるからです。
プライベートと混ざっていると、1件ずつ「これは経費か」を判断することになります。作業時間が何倍も変わります。
フリーランスの方は、事業用口座の中にさらに「税金用の取り置き」を意識してください。所得税・住民税・国民健康保険料・消費税を合わせると、売上の2割前後になることもあります。入金のたびに一定割合を別口座へ移す習慣があるかどうかで、納付時期の景色が変わります。
整理するときの手順
- 持っている口座を全部書き出す(ネット銀行も忘れずに)
- それぞれの残高と、引き落としの有無を確認する
- 役割のない口座から、引き落としを他へ移す
- 残高を移して解約する
3番を飛ばして解約すると、引き落としが止まって督促が来ます。順番だけは守ってください。
どの銀行を選ぶか
銀行選びで見るところは、金利ではありません。いまの普通預金の金利差で生まれる差は、数十万円の残高なら年に数百円程度です。それより手数料のほうがはるかに効きます。
- 振込手数料が月に何回無料か/毎月2〜3回振り込むなら、年間で数千円の差になります
- ATM手数料/時間外に引き出す機会が多いなら要確認
- アプリの使いやすさ/残高を見る回数が増えるほど、使いすぎに気づきやすくなります
- 会計ソフトと連携できるか/フリーランスの事業用口座では必須の条件です
給与振込や一定の残高で手数料の優遇回数が増える銀行が多いので、メインを1つに集約するほうが条件はよくなります。分散させると、どこの優遇も受けられない状態になりがちです。
家族のお金はどう分けるか
夫婦の場合、生活費用の共通口座を1つ作り、そこへ毎月決まった額を入れる形にすると管理がラクになります。それぞれの自由に使えるお金は各自の口座に残す。
気をつけたいのは、名義と実際の負担がずれることです。夫の収入を妻名義の口座に大きく移し続けると、贈与とみなされる可能性があります。生活費として使う範囲なら問題になりませんが、まとまった額を移して名義預金として貯め続ける形は避けたほうが安全です。
口座の役割
- 生活費/給料が入り、日々使う
- 貯める/カードを持ち歩かない。自動振替で入れる
- 特別な出費/年払い・税金・帰省。年額の12分の1を毎月移す
- 事業用/フリーランスは必須。会計ソフトに連携する
おわりに
口座を分ける目的は、意志の力に頼らないことです。「使わないようにがんばる」のではなく、使えない場所に置いておく。
まずは、いま持っている口座を書き出すところから始めてみてください。それだけで見えてくるものがあります。
Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。
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※本記事は一般的な家計管理の考え方を紹介するものです。金額や割合はあくまで目安であり、適切な管理方法は収入や生活状況によって異なります。休眠預金の取り扱いは金融機関によって異なりますので、各行にご確認ください。

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