国民健康保険料は下げられる?効く方法6つと、効かない節税3つ

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「国民健康保険料が所得税より高いんですが、下げられないんですか?」

答えを先に書きます。保険料そのものを値切ることはできません。国民健康保険料は前年の所得から機械的に計算されるので、下げる道は「所得を正しく下げる」か「制度で国保から外れる」の2種類だけです。しかも、所得税でおなじみのiDeCoや生命保険料控除は国保料にまったく効きません。ここを勘違いしたまま数年過ごす方が本当に多いんです。

国民健康保険料は何で決まっているのか

国民健康保険料(自治体によっては「保険税」)は、大きく2つの部分でできています。ひとつが所得割で、前年の所得に料率をかけて計算します。もうひとつが均等割で、加入者数×定額。自治体によっては世帯ごとの定額(平等割)を加えるところもあります。

大事なのは、料率も均等割の額も、賦課限度額(上限)も自治体ごとに違うということ。同じ所得でも市区町村が変われば保険料は変わります。実際の金額はお住まいの自治体の料率表で必ず確認してください。

最大の誤解。所得控除は引かれない

所得割の計算のもとになる金額は、ざっくり言うと「総所得金額等 − 基礎控除43万円」です(2026年8月時点。合計所得金額が2,400万円を超えると基礎控除は段階的に減ります)。

出てくる控除は基礎控除だけです。扶養控除も、生命保険料控除も、社会保険料控除も、医療費控除も、国民健康保険料の計算では引かれません。ただし名古屋市のように、扶養親族や障害者がいる世帯へ所得割の独自控除・減免を設けている自治体も一部あります。

きいちゃんメモ

「所得税より国保のほうが高い」という方は珍しくありません。所得税は所得控除を引いたあとの課税所得に税率をかけますが、国保は基礎控除しか引かないからです。扶養家族が多い方ほど差を感じます。

効く方法6つ

1. 青色申告特別控除65万円を使う

これが第一手です。青色申告特別控除は「所得控除」ではなく、事業所得を計算する段階で差し引かれるもの。総所得金額等そのものが下がるので、所得税・住民税・国保の三方向に同時に効きます。

ただし65万円の控除には、複式簿記で帳簿をつけたうえで期限内にe-Taxで電子申告する(または優良な電子帳簿の保存を行う)ことが条件です。紙で出すと55万円、簡易簿記だと10万円に下がります。手書きで複式簿記をこなすのは現実的ではないので、会計ソフトを使うのがいちばん早い、というのが実感です。

やよいの青色申告 オンライン

個人事業主向けとしては操作の癖が少なく、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿が形になります。銀行・カードの明細を取り込んで仕訳に変える流れが素直で、青色申告決算書からe-Tax送信までひと続きで進みます。まず65万円控除を確実に取りたい方に向いています。

2. 経費の計上漏れをなくす

経費は所得を直接下げるので、国保にもそのまま効きます。自宅兼事務所の家賃・電気代・通信費を事業で使う割合で按分する「家事按分」は、忘れられがちな代表格。面積比や使用時間比など、説明できる基準で計算し記録を残せば大丈夫です。

3. 赤字の年こそ申告して繰り越す

青色申告なら、その年の純損失を翌年以降3年間くり越せます。所得割の計算に使う「総所得金額等」は繰越控除の後の金額なので、繰り越した赤字は翌年の保険料にも効きます。赤字の年こそ、面倒がらず必ず申告してください。

4. 国民健康保険組合に入れないか調べる

ここからは「制度で外す」手です。業種ごとの国民健康保険組合があり、条件を満たせば市区町村の国保ではなくそちらに入れます。文芸美術国民健康保険組合(加盟団体の会員で文筆・デザイン・美術などに従事する方が対象)のほか、医師、建設、理容美容などの組合があります。組合の保険料は所得にかかわらず定額のことが多いため、所得が高い方ほど差が出ます。加入条件は細かいので公式サイトで確認を。

5. 家族の健康保険の被扶養者になる

配偶者や親が会社員で健康保険に入っているなら、その被扶養者になれる場合があります。被扶養者に保険料の負担はありません。目安は年間収入130万円未満(60歳以上や一定の障害がある方は180万円未満、19歳以上23歳未満で配偶者以外の方は150万円未満)。あわせて、同居なら被保険者の年間収入の2分の1未満、別居なら被保険者からの援助額より少ないことなどが求められます。事業所得の場合、収入から何を差し引いて判定するかが保険者ごとに違うため、加入先の窓口で確認を。

6. 退職直後なら「任意継続」と比べる

会社を辞めて独立した年に効く手です。勤務先の健康保険を最長2年間続けられる制度で、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があることが要件。原則として退職日の翌日から20日以内の申請が必要です。在職中は折半だった保険料が全額自己負担になりますが、保険料には上限があるため、退職前の給与が高かった方や扶養家族が多い方は国保より安くなることがあります。独立1年目は前年の給与で国保料が決まるので、必ず両方を試算して比べてください。

効かない節税3つ

逆に、所得税・住民税には効くのに国保料には効かないもの。いずれも所得控除や税額控除であって、国保の計算に使う「総所得金額等」そのものを下げるわけではないからです。

国保料には効かない代表格

  1. iDeCo・小規模企業共済の掛金(小規模企業共済等掛金控除)
  2. 国民年金・国民年金基金・付加保険料・国保料そのもの(社会保険料控除)
  3. 生命保険料控除、扶養控除、医療費控除(所得控除)/ふるさと納税(寄附金控除・寄附金税額控除)

これらに意味がないわけではありません。iDeCoも小規模企業共済も所得税と住民税の負担はしっかり下げますし、老後資金の準備にもなります。ただ「国保料も下がる」と期待して入ると当てが外れる、それだけの話です。

なお、保険料を下げたいからと売上を抜いたり架空の経費を入れたりするのは論外です。所得を意図的に少なく申告するのは脱税であって節約ではありません。

払えないときは、まず役所へ

計算とは別に、軽減・減免の制度もあります。前年の世帯所得が一定以下なら均等割が7割・5割・2割軽減される制度、災害や病気などによる減免、倒産や解雇で離職した方向けの軽減(雇用保険の特定受給資格者などで離職日時点65歳未満の方が対象。前年の給与所得を100分の30とみなして計算する取り扱いで、離職日の翌日から翌年度末までが対象期間)など。条件も申請の要否も自治体で違うので、滞納する前にまず国保の窓口へ相談してください。

おわりに

国民健康保険料は、努力の余地がないように見えて、入り口の選び方で大きく変わります。まずは青色申告と経費を整えること。そのうえで、国保組合や被扶養者という別ルートが開いていないか一度確認してみてください。とくに国保組合は、条件を満たしているのに知らないまま国保を払い続けている方がいらっしゃいます。

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※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。国保の料率・均等割額・賦課限度額・軽減や減免の条件は市区町村で異なります。個別の税務判断は税務署または税理士に、保険料の計算や減免はお住まいの自治体の窓口にご確認ください。

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