地震保険料控除は火災保険料には使えません|上限5万円と旧長期損害保険の経過措置

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「火災保険料も、地震保険料控除に入れていいんですよね?」

9月1日は防災の日。保険証券を引っぱり出す方が増える時期で、この質問も増えます。

答えを先に書きます。火災保険料は控除の対象になりません。対象になるのは地震保険料と、平成18年12月31日までに契約した積立型など一部の旧長期損害保険料だけです。

対象は「地震等損害部分」の保険料だけ

控除の対象は、地震・噴火・これらによる津波を原因とする損害をてん補する保険の、地震等損害部分の保険料です。台風や水濡れ、盗難、もらい火の補償にあたる部分は入りません。平成18年の税制改正で損害保険料控除そのものが廃止され、所得税は平成19年分から、個人住民税は平成20年度分から使えなくなりました。

地震保険は、火災保険に付帯する形でしか契約できません。だから同じ証券に両方の保険料が並びます。控除証明書には、そのうち地震保険料の額だけが区分して書かれています。共済は商品ごとに扱いが違うので、届いた証明書の記載で確認してください。

きいちゃんメモ

年間の引き落とし合計をそのまま書いてしまう方が、毎年いらっしゃいます。申告書に写すのは総額ではなく、証明書の「地震保険料」の欄の金額です。

控除額は所得税5万円、住民税2万5,000円が上限

2026年8月時点の金額です。所得税と住民税で計算式が違います。

  • 所得税…年間の支払保険料が5万円以下ならその全額。5万円を超えるなら一律5万円
  • 住民税…年間の支払保険料の2分の1。上限2万5,000円

住民税は半額しか見てもらえないうえ、上限も半分です。もう一つ、住民税は効く時期がずれます。前年中に支払った保険料が翌年度の住民税に反映されるので、2026年中に払った分は2027年度分(2027年6月から引かれる分)に効いてきます。控除額が所得税と住民税で違うのは生命保険料控除の上限も同じです。

「5万円ぶん税金が減る」ではありません

いちばん多い誤解です。地震保険料控除は税額控除ではなく所得控除。税金そのものから5万円を引くのではなく、税率をかける前の所得から引く仕組みです。

年間の地震保険料が5万円だった方で試算します(2026年8月時点。住民税は標準税率10%で計算し、復興特別所得税は除いています)。

  • 所得税率5%の方…所得税は5万円×5%で2,500円、住民税は2万5,000円×10%で2,500円。合わせておよそ5,000円
  • 所得税率10%の方…所得税5,000円、住民税2,500円。合わせておよそ7,500円

実際に減る税金はこの額です。所得控除は税率が低い方ほど効果が小さくなります。

平成18年までの契約には経過措置がある

廃止された損害保険料控除にも、残っている入口があります。次の3つをすべて満たす長期損害保険契約なら、旧長期損害保険料として控除の対象にできます。

  1. 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
  2. 満期返戻金等があり、保険期間または共済期間が10年以上
  3. 平成19年1月1日以後に、その契約の変更をしていない

積立型の長期契約や建物更生共済が当てはまることがあります。控除額は税目ごとに次のとおりです。所得税は、年間の支払額が1万円までならその全額、1万円を超えると支払額の2分の1+5,000円、2万円を超えると一律1万5,000円。住民税は、年間の支払額が5,000円までならその全額、5,000円を超えると支払額の2分の1+2,500円、1万5,000円を超えると一律1万円です。

地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある方は、それぞれ計算して足します。ただし合計の上限は所得税5万円・住民税2万5,000円。足しても枠は広がりません。1つの契約がどちらにも当たるときは、有利なほうを選んで一方だけを使います。

誰の、どの家が対象になるのか

対象になるのは、自分または生計を一にする配偶者・親族が所有し、常時居住している家屋。あるいはそれらの方が持つ、家具・衣服などの生活用動産です。

  • 賃貸で家財だけにかけている場合も、生活用動産なので対象です
  • 常時は住んでいない別荘は対象外です
  • 控除を受けるのは、その保険料を実際に支払った方です

店舗兼住宅は、居住用の部分だけが対象です。証券に資産ごとの地震保険料が区分表示されていないときは、保険金額の割合で按分するのが原則。店舗兼住宅のように居住部分が一定している家屋なら、居住部分の床面積÷総床面積を居住割合として使って差し支えないとされています(所得税基本通達77-5)。家屋全体のおおむね90%以上を居住に使っているなら、支払った地震保険料の全額を居住用として差し支えないともされています(同77-6)。仕事用の部屋が家全体の1割を超えるあたりからは、按分を考えることになります。

手続きは年末調整か、確定申告で

会社員の方は、保険料控除申告書に記入して控除証明書を添え、年末調整で終わります。自営業の方は、確定申告書の地震保険料控除の欄に記入して、証明書を添付するか提出時に提示します。

出し忘れても取り返せます。ただし、その年分の申告書をすでに出したかどうかで、手続きも期限の数え方も変わります。

  • その年分の申告書をまだ出していない会社員の方…還付申告です。その年の翌年1月1日から5年間できます。2026年中なら、令和3年分(2021年分)までさかのぼれます
  • 確定申告が必要で、すでに申告書を出している方…更正の請求です。期限は法定申告期限から5年以内(国税通則法23条1項)。自営業の方は通常こちらです
  • 確定申告は不要だが、すでに還付申告書を出している方…同じく更正の請求ですが、期限はその申告書を提出した日から5年以内です

証明書が見当たらないときは、保険会社に再発行を頼んでください。

火災保険料は、どこでも使えないのですか

上の経過措置に当たらない火災保険料が、所得控除になることはありません。ただし事業に使う建物や什器にかけた火災保険料は、事業所得の必要経費になります。自宅兼事務所なら事業割合で按分します。なお積立型は、積立部分を保険積立金として資産に計上し、経費になるのは掛け捨て部分だけです。保険料そのものが重いと感じるなら、固定費の見直し、効果が大きい順に5つもどうぞ。

いま加入したら、今年の控除に間に合いますか

その年に支払った保険料が対象です。ただし、払った年と控除できる年がずれるケースが2つあります。

  • 保険の責任開始日が翌年になるとき…年内に払っても、翌年分の控除になります。責任開始日より前に支払った地震保険料は、実際の支払日ではなく責任開始日に支払ったものとして扱われます(所得税基本通達77-3)
  • 数年分を一括払いしたとき…払った年に全額は入れられません。保険期間で割った1年分が、毎年の控除対象です。5年分10万円をまとめて払ったなら、各年2万円ずつ。控除証明書も、2年目以降は毎年届きます

迷ったら、控除証明書の「当年分」の金額を見てください。そこに出ている額が、その年に控除できる額です。

おわりに

地震保険は、控除のために入るものではありません。減る税金は年に数千円です。それでも、すでに払っているのに書き忘れているとしたら、もったいない。防災の日に証券を出したついでに、地震保険料の欄だけ見ておいてください。

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※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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