こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「年末調整の書類を出す日が来週なのに、年金の控除証明書が見当たらなくて。もう間に合わないですよね」
間に合います。間に合わなくても、控除が消えるわけではありません。毎年いらっしゃるご相談です。
「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は、なくしても届かなくても再発行してもらえます。入り口はねんきんネット・自動音声の電話・ねんきん加入者ダイヤル・年金事務所の4つ。いちばん早いのはねんきんネットで、24時間いつでも申し込めます。
いつ、誰に届くものなのか
この証明書は、その年に国民年金保険料を納めた方(被保険者ご本人あて)に届きます。発送は2回に分かれています。
- その年の1月1日から9月30日までに納付した方……10月下旬から11月上旬にかけて順次(電子データはそれより早く、10月中旬から)
- 10月1日から12月31日までに納付した方(上の対象者を除く)……翌年2月上旬ごろ(電子データは1月下旬から。日付は年により前後します)
つまり年明けの発送になるのは「その年に1月から9月の納付がまったくない方」だけです。令和8年(2026年)分の正確な日付は、日本年金機構のページでご確認ください。
届かない理由として考えられること
紛失ではなく、そもそも送られていないこともあります。多いのは次の4つ。
- 電子送付を希望登録している。ねんきんネットで「電子送付する」を選んでいると、マイナポータルの「お知らせ」に届き、原則として書面の郵送は停止されます(登録の時期によっては、電子と郵送の両方が届くことがあると案内されています)
- その年の10月以降にはじめて納めた。翌年2月上旬の発送になります
- 住所の変更が反映されていない
- 会社員で、その年に国民年金保険料を納めていない。厚生年金や共済の保険料は勤務先が計算するので、機構から証明書は届きません
証明書が届いていても、載っていない納付があります。「見込額」は作成時点の納付方法で見込んだ額なので、10月以降に納付書で追納した分などは反映されません。詳しくは国民年金を10月以降に追納したときの確認順をご覧ください。
再発行を頼める4つの窓口
どれも、直近の納付実績にもとづく証明書が出ます。ただし直前に納めた分は、記録に反映されるまで日数がかかるため載らないことがあります。目安は納付方法で大きく違い、金融機関や郵便局の窓口なら3〜4営業日、コンビニでの現金納付は12〜16営業日、スマホ決済アプリは10〜16営業日とされています。
- ねんきんネット……24時間いつでも再交付申請ができます。ねんきんネットからの電子送付なら3〜5営業日程度、郵送なら約1週間が目安
- ねんきん自動音声送付受付サービス(050-3319-3152)……午前8時から午後11時30分まで、土日祝日も受付。基礎年金番号が必要です
- ねんきん加入者ダイヤル(0570-003-004)……月曜から金曜の午前8時30分から午後7時、第2土曜日の午前9時30分から午後4時
- 年金事務所……窓口で依頼できます
電話や窓口では、マイナンバーか基礎年金番号を用意してから。納付状況の確認があるので1週間程度(自動音声送付受付サービスでは1〜2週間程度と案内されています)かかります。締切が迫っているなら、マイナポータル経由の電子データが最短です。
ねんきんネットで電子データを受け取る
ねんきんネットには、ユーザIDで入る方法とマイナポータル経由で入る方法があり、ここに差があります。
- ユーザIDで直接……紙の控除証明書の再発行申請のみ
- マイナポータル経由……紙でも電子データでも申請できる。電子データはマイナポータルで受け取り、e-Taxでの確定申告に使えます。勤務先が年末調整の電子化に対応していれば年末調整でも使えます
ねんきんネットの「通知書を確認する」画面でもPDFが見られますが、これはお客様控えで、印刷しても添付書類には使えません。紙で出したいときは、マイナポータルで受け取った電子データを国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」で書面に出力します。
再発行が間に合わないときの2段構え
締切に間に合わないとわかったら、空欄のまま出さずに勤務先へ相談を。国税庁の「年末調整のしかた」(令和8年分)27ページには、証明書類の交付を請求中などで確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件として、社会保険料の控除をしたところで年末調整を行ってもよいと書かれています。そして同43ページには、期日までに出せなければその保険料を除いて年末調整をやり直し、不足額を徴収する、とあります。
年末調整が終わってしまっても、そこで終わりではありません。社会保険料控除は翌年に繰り越せないかわりに、確定申告でやり直せます。還付申告は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
証明書の合計額が20万円で所得税率10%の方なら、令和8年分の所得税がおよそ2万円、翌年度の個人住民税がおよそ2万円軽くなります(住民税の所得割を10%として計算。復興特別所得税は考慮していません)。
もうひとつ。令和8年分以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に提出するときは、証明書の添付・提示に代えて一定の事項を記載した明細書を添付できます。これは確定申告書の話で、年末調整の「保険料控除申告書」には証明書の添付か提示が要ります。
国民健康保険料は、この証明書に載りません
実務でいちばん多い勘違いがここです。国民健康保険料も社会保険料控除の対象ですが、この控除証明書は国民年金保険料のためのもので、国保の金額は載っていません。
年末調整で証明書の添付が求められているのは、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金だけ。国税庁の「年末調整のしかた」にも、国民年金の保険料および国民年金基金の掛金については支払ったことを証明する書類が必要だが、それ以外の保険料等については必要はない、とあります。国保はその年に払った額を申告書に書けばよく、証明書を探し回る必要はありません。額がわからないときは市区町村にご確認を。保険料そのものを下げる工夫は国民健康保険料は下げられる?にまとめています。
家族の保険料を払いました。証明書は私あてに届きますか
いいえ。証明書は被保険者ご本人あてに送られます。生計を一にする配偶者やお子さんの負担すべき保険料を納めた方は、ご本人あての証明書を受け取り、ご自身の分とあわせて申告できます(国税庁 No.1130)。生計が別の親族の分は対象になりません。
2年前納の証明書を3枚もらったのですが、1枚しかありません
なくした分も再発行できます。ただし各年に分けて申告するための分割された控除証明書は、ねんきん自動音声送付受付サービスでは再交付できないと案内されています。確実なのは「ねんきんネット」の再交付申請で、前納による納付かどうかを選ぶ欄で「はい」を選び、続けて控除方法に「各年分の保険料に相当する額を各年に控除」を選びます。電話や年金事務所で頼むときは、各年に分割した証明書が必要だと最初に伝えてください。13か月以上の前納をすると、各年に分割した証明書が最大3年分3枚届きます。納めた年にまとめて控除するなら3枚とも切り離さずに添付し、各年に分けるならその年分の1枚だけを使い、残りは翌年以降のために保管します。
FPカフェ(無料のお金・保険相談)
控除証明書を見返す秋は、加入している保険そのものがいまの暮らしに合っているかを確かめるのにもちょうどよい時期です。自分で比べるのが難しい方は、無料で相談できる窓口もあります。対象年齢や申込条件、相談後に保険の提案があるかどうかは、公式サイトで先に確認してください。
おわりに
控除証明書は、なくしたら終わりの券ではなく、記録から何度でも作り直せる書類です。空欄のまま出すことだけ避けて、まずはねんきんネットを開いてみてください。間に合わなくても、確定申告という道がちゃんと残っています。
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※本記事は執筆時点(2026年9月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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