住宅ローン控除、初年度は確定申告が必要|必要書類と2年目以降の年末調整

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「家を買ったので確定申告が必要だと言われました。これって毎年やるんですか?」

先に答えを書きます。会社員(給与所得者)の方なら、確定申告が必要なのは住み始めた年の分だけです。2年目からは年末調整で終わります。ただし初年度の申告をしないと、その年末調整もできません。個人事業主の方は年末調整がないので、毎年の申告で控除します。

「所得控除」ではなく「税額控除」です

実務でいちばん誤解が多いところです。

医療費控除のような「所得控除」は、税率をかける前の所得から差し引きます。10万円の所得控除でも、所得税率5%の方に戻る所得税は5,000円です。

住宅ローン控除は違います。計算し終わった所得税から直接引く「税額控除」なので、控除額が10万円なら所得税がまるごと10万円減ります。

もとになるのは年末のローン残高です。これに控除率0.7%をかけた額が、その年に引ける額の基本です。令和8年から令和12年の入居では、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅(あわせて「認定住宅等」)なら、新築等でも既存住宅(中古)の取得でも控除期間は13年。認定住宅等に当たらない「その他の住宅」の取得や増改築等は10年です。

きいちゃんメモ

令和10年から令和12年の入居には、落とし穴がひとつあります。令和9年12月31日以前に建築確認を受けた省エネ基準適合住宅を新築(または建築後使用されたことのない状態で取得)して、令和10年から令和12年に住み始めた場合、控除期間は13年ではなく10年です。借入限度額も入居年と省エネ性能で分かれるので、ご自身の区分は国税庁や国土交通省のページで確認してください。

対象になるための主な条件

  • 取得から6か月以内に住み始め、その年の12月31日まで住んでいること
  • その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 償還期間が10年以上の住宅ローンであること
  • 床面積の2分の1以上を自分の居住用にしていること
  • 2つ以上の住宅を持つ場合は、主として居住の用に供すると認められる住宅であること
  • 中古なら、昭和57年1月1日以後に建築された家屋であること。それより前の建築は、耐震基準適合証明書などで耐震基準に適合することの証明が必要
  • 住み始めた年とその前2年・その後3年の計6年間に、3,000万円特別控除や買換え特例など居住用財産の譲渡特例を受けていないこと
  • 生計を一にする親族など特別な関係のある人からの取得や、贈与ではないこと

床面積は、令和8年1月1日以後の入居なら新築・既存ともに40平方メートル以上が対象です。ただし40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅は、合計所得金額が1,000万円を超えた年については、その年分の控除が受けられません。人ごとではなく、年ごとの判定です。途中の1年だけ1,000万円を超えたなら、その年が飛ぶだけで、翌年また戻ります。また、子育て世帯等への借入限度額の上乗せ措置は、40平方メートル台の住宅とは併用できません。

省エネ基準に適合しない新築住宅は、令和6年1月以降の入居なら原則として対象外です。令和6年・令和7年の入居には経過措置がありましたが、これは入居した年で区切られた措置なので、令和8年以降の入居には使えません。新築で控除を受けるには、省エネ性能を証明する書類が必要になります。

見落とされやすいのが譲渡特例との関係です。住み始めた年とその前2年・その後3年の計6年間に、前の家を売って3,000万円特別控除を使っていると、新しい家の住宅ローン控除は使えません。逆に、その6年間から外れていれば影響しません。買い替えのご相談では必ず先に確認します。

初年度の確定申告で用意する書類

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 連帯債務でローンを組んだ場合は、「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」
  • 金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
  • 家屋の登記事項証明書など(床面積や取得日がわかるもの)
  • 売買契約書または工事請負契約書の写し
  • 土地も取得した場合は、その登記事項証明書や契約書の写し
  • 省エネ性能を証明する書類。省エネ基準適合住宅・ZEH水準省エネ住宅なら、建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」または登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写し。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅なら「認定通知書」の写しなど
  • 補助金等の交付を受けた場合は、その額を証する書類。住宅取得等資金の贈与の特例を使った場合は、贈与税の申告書の写しなど
  • 本人確認書類(マイナンバーと身元の確認書類)

省エネ性能の証明書は「認定住宅の人だけ」と思われがちです。ですが令和8年以降の入居で新築を建てた・買った方は、省エネ基準への適合が控除の前提なので、ほぼ必ず必要になります。中古を「その他の住宅」として10年で受ける場合は不要です。

給与所得の源泉徴収票は、平成31年4月1日以後に提出する確定申告書には添付不要です。ただし金額を書き写すので、手元に用意します。

年末残高等証明書は、その年の10月から11月ごろに届きます。毎年2月に「見つからない」というご相談をいただくので、届いた時点で「家の封筒」にまとめてください。

きいちゃんメモ

ただし借入先が「調書方式」に対応している場合、この証明書は届きません。かわりに金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を出し、申告ではマイナポータル連携で年末残高の情報を取得します。提出書類も一部変わります。対応する金融機関は国税庁のページに一覧があります。

2年目からは年末調整で済む

初年度の申告が通ると、税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」という書類が届きます。

これとその年の年末残高等証明書を勤務先に出せば終わりです。残りの年数ぶんがまとめて届くので、なくさず保管してください。

個人事業主の方は年末調整がないので、2年目以降も確定申告で控除します。添付するのは計算明細書と年末残高等証明書だけです。

所得税から引ききれない分は、住民税から

控除できる額が、納めている所得税より大きいこともあります。所得税がゼロで打ち切り、ではありません。平成21年から令和12年12月31日までの間に居住して控除を受けた方は、引ききれなかった分を翌年度の個人住民税から控除できます。

ただし上限があります。原則は前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円が限度)まで。ただし居住年が平成26年から令和3年12月31日までで、その住宅の取得等に消費税8%または10%が課されている場合だけは、7%(136,500円が限度)になります。個人間で売買した中古など、消費税がかかっていない取得は、この期間の入居でも原則どおり5%です。

きいちゃんメモ

この住民税の控除に、市区町村への申告は不要です。申告や年末調整の情報が自治体に渡るので、翌年度の住民税に自動で反映されます。

初年度の申告を忘れていたら

年末調整だけで完結している会社員の方にとって、初年度の申告は「還付申告」です。還付申告はその年の翌年1月1日から5年間、提出できます。2021年(令和3年)に入居した方なら、2026年(令和8年)12月31日までに出せばまだ間に合います。

もともと申告義務がある方は別です。期限に遅れると加算税や延滞税の対象になります。詳しくは確定申告の期限に間に合わなかったときの話に書きました。

すでに申告書を出したあとで気づいた場合は、更正の請求という手続きになります。

夫婦でペアローンを組んだ場合は

それぞれが自分の借入分を申告し、年末残高等証明書もそれぞれの名義で届きます。連帯債務でひとつのローンを組んだ場合は負担割合に応じて分けます。初年度に決めた割合は必ず控えてください。何年か経って「何割にしたか分からない」となる方が多いです。

マネーフォワード クラウド確定申告

住宅ローン控除の初年度は、会社員でも確定申告書と計算明細書を自分で作ることになります。源泉徴収票の内容を入力して年末残高や取得対価の額を書き込む画面が分かりやすいか、そのままe-Taxで送れるか、無料で試せる範囲はどこまでかを、公式サイトで確認してください。

おわりに

引っ越しの荷ほどきも終わらないうちに確定申告の話が来て、うんざりしている方も多いと思います。それでも最初の1回だけ書類を集めてしまえば、あとの年は勤務先に紙を出すだけ。10年以上効き続ける制度ですから、手をかける価値ははっきりあります。

X(@tax_kiichan)でも、確定申告まわりの話をぽつぽつ書いています。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。住宅ローン控除は入居年によって控除期間や要件が変わります。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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