仕入れの領収書がないときは?市場・個人・フリマの仕入れで残す記録と消費税の注意点

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「市場や個人の方から現金で仕入れていて、領収書が出ません。これって経費になりますか?」

所得税の話なら、領収書がないことだけで仕入れが経費(売上原価)から外れるわけではありません。帳簿に仕入れの年月日・仕入先・金額を書き、支払いの記録や取引画面、納品書などで裏付ければ説明できます。注意が要るのは消費税の本則課税の方です。インボイスのない仕入れは原則として仕入税額控除ができず、経過措置で控除できる割合も、2026年10月1日から80%が70%に下がります。

カード明細やメールなど、書類ごとの強さは領収書の代わりになるものは?カード明細・メール・通帳・出金伝票の強さと組み合わせ方にまとめました。ここでは、相手が個人だったり、同じ相手から何度も買ったり、在庫になったりする「仕入れならでは」の話をします。

所得税では「仕入先・日付・金額」が帳簿に書けるか

国税庁は、仕入れについて、取引の年月日・仕入先その他の相手方・金額などを帳簿に書くとしています。白色申告の方は、少額な現金仕入を日々の合計額でまとめて書く簡易な方法も認められています。書類は、受け取った請求書・納品書・領収書などを整理して保存します。領収書は裏付けのひとつで、なければ別の記録で補えばよいというのが基本です。

相手によって、残せる記録は違う

市場や現金払いの問屋では、領収書は出なくても、仕切書や納品書が出ることがよくあります。日付・相手の名前・品名・数量・金額が書いてあれば、仕入れの裏付けとしては領収書より詳しいくらいです。

農家さんや作家さんなど個人の方から買うときは、日付・品名・数量・金額と、書いてくれた方の名前、宛名としてこちらの名前を書いた簡単な受領書をお願いしてみてください。難しければ、自分の記録(出金伝票やノート)に同じ項目と支払方法を書き、注文のやりとりのメッセージも残します。振込で払えば、通帳にも記録が残ります。

フリマアプリでの仕入れは、購入日・商品名・金額・出品者名が出る取引画面を、PDFやスクリーンショットで保存します。ネット上の取引なので、印刷して終わりにせず、データのまま残すのが原則です。

きいちゃんメモ

同じ相手から毎月仕入れるなら、納品書を毎回もらい、月末に請求書でまとめてもらう形にすると記録が一本につながります。実務で相談が多いのは、現金仕入れを自分で書いた伝票だけで積み上げていて、あとから相手も品物もたどれなくなるケースです。自分で書いた記録は、相手が出した書類より裏付けの力が弱いと考えてください。

仕入れは、棚卸しとセットで見られる

仕入れたものが経費になるのは、売れた分の原価としてです。売上原価は「年初の在庫+その年の仕入れ−年末の在庫」で計算するので、年末に売れ残った分はその年の経費から外れます。仕入れの記録に品名と数量があると、年末の在庫と突き合わせやすくなります。仕入れは多いのに在庫が少なく、売上とも合わないと、説明を求められやすいところです。数え方は個人事業主の年末棚卸しはどうする?在庫の数え方と仕訳をどうぞ。

本則課税の方は、インボイスのない仕入れに注意

消費税の本則課税では、仕入税額控除に帳簿と請求書等の両方の保存が必要です(国税庁 No.6496)。消費者や免税事業者など、インボイス発行事業者でない相手からの仕入れは、原則として控除できません。ただし、仕入れた時期に応じて一定の割合を控除できる経過措置があります(インボイスQ&A問113・令和8年4月改訂)。

経過措置で控除できる割合(2026年時点)

  1. 令和5年10月1日〜令和8年9月30日 … 80%
  2. 令和8年10月1日〜令和10年9月30日 … 70%
  3. 令和10年10月1日〜令和12年9月30日 … 50%
  4. 令和12年10月1日〜令和13年9月30日 … 30%

経過措置を受けるには、帳簿に「80%控除対象」のように経過措置の対象である旨を書き、作成者の名前・日付・品名・税込金額・受け取る側の名前などが書かれた請求書等を保存する必要があります。個人の仕入先に簡単な受領書を書いてもらうのは、この要件のためでもあります。受領書がなく、自分で書いた出金伝票やノートしかない仕入れは、経過措置も使えず、控除できません(次の段落の、帳簿だけで控除できる特例に当たるものを除きます)。また、令和8年10月1日以後に始まる課税期間(個人なら令和9年分)からは、1つの相手(取引先ごと)からの対象仕入れが年に税込1億円を超えた部分は経過措置を使えません。

ほかに、帳簿だけの保存で控除できる特例もあります。基準期間の課税売上高1億円以下などの事業者が令和11年9月30日までに行う税込1万円未満の仕入れは、相手が登録しているかどうかを問わず対象です(少額特例)。古物商の許可を受けた方がインボイス発行事業者でない人から商品の古物を買う場合なども、一定の事項を書いた帳簿だけで控除できます。ただしこちらは古物商や質屋など、決められた業種の方に限る話です。

免税事業者・簡易課税の方は、消費税の心配は小さい

免税事業者の方は消費税を納めないので、仕入税額控除の心配はありません。簡易課税や2割特例(個人は令和8年分まで)、3割特例(個人の令和9年分・令和10年分)を使う年も、納める税額は売上から計算するため、請求書等の保存は控除の要件になりません。ただ、所得税のための記録は同じように必要です。

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現金仕入れが多い方は、日付・仕入先・金額をその日のうちに入力できるかどうかで記録の質が決まります。現金出納帳の入力のしやすさや、取引画面の画像を仕訳と一緒に残せるかを、公式サイトで確認してください。

おわりに

仕入れは金額が大きくなりやすいので、領収書がないと不安になりますよね。でも、所得税で大切なのは、誰から・いつ・何を・いくらで買ったかを示せることです。仕切書、受領書、取引画面、通帳と、手元の記録をつないでおけば、説明できることはたくさんあります。本則課税の方は、9月30日を境に経過措置の割合が変わることも覚えておいてください。

日々の税金の話は、X(@tax_kiichan)でも短く書いています。

※本記事は執筆時点(2026年9月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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