こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「便利だと思って買ったのに、棚の奥から出していない」
台所の吊り戸棚を開けて、箱ごとしまった家電と目が合う。欲しくて買ったし、最初の月はよく使った。それが今は、上に別の箱が積まれている——という状態を、わたしも作ったことがあります。
先に結論を書きます。調理家電を使い切れる台数は、出しっぱなしにできる場所がいくつあるかで決まります。性能でも値打ちでもなく、置き場所と、出すまでの手数です。だから上限は家によって違います。増やす前に数えるべきなのは、機能ではなく台の上の空きです。
使わなくなるのは、性能に不満が出たからではない
使わなくなった家電の話を聞くと、「思ったほど便利じゃなかった」という感想はあまり出てきません。出てくるのは、もっと手前の話です。
棚の上段にあるから、椅子を持ってこないと下ろせない。箱に入れたので、出すと箱の置き場に困る。コンセントの空きがなくて、使うたびに別のものを抜く。
どれも、動作としては数十秒です。ただ、料理を始めようとする時間帯は、たいてい急いでいるか疲れているかのどちらかです。そこで「三手かかるもの」と「そのまま使えるもの」が並ぶと、選ばれるのは必ず後者になります。使わなくなった家電は、負けたのではなく、はじめから比べてもらえていないのだと思います。
台数は、置ける場所から逆算する
そこで、順番を逆にします。何台まで持てるかを考えるのではなく、出しっぱなしにできる場所をまず数えます。
数え方はかんたんです。調理台の上で、まな板を置く場所を削らずに家電を置ける区画。食器棚やレンジ台の、手を伸ばせば届く高さの棚板。この条件に当てはまる場所を数えると、多くの台所で二か所から四か所くらいに収まります。
そこが、日常的に使える台数の上限です。超えた分はしまうことになり、しまった家電は先ほどの手数の話のとおり動かなくなります。
ここで見落としやすいのが、置き場所の条件が場所の広さだけではないことです。近くにコンセントが空いているか、熱や蒸気が出るものを壁や吊り戸棚から離せるか、上の扉を開けたときに当たらないか。設置に必要な間隔は各メーカーの取扱説明書に書かれているので、置き場所を決める前にそこを見てください。
ここでいう上限は、平日の夕方に手が伸びる台数のことです。年に数回しか使わないものは、しまってあっても不満は出ません。問題になるのは、平日に使うつもりで買ったのに、しまう場所しか空いていなかった一台です。
役割が重なっている台は、片方が止まる
置ける場所の数が分かったら、次は中身です。
煮る・煮込む。蒸す。焼く・焦げ目をつける。温め直す。炊く。だいたいこの五つで、たいていの一台はこのうち一つか二つを担当しています。
問題は、同じ役割の台が二つあるときです。煮込みができる家電が二台あると、片方に手が伸びなくなります。焼く役割も重なりやすいところで、卓上で焼く道具と、天板で焼く道具と、魚焼きの機能。三つあっても、実際に出すのは一つです。
重なりを見分けるには、機能表ではなく、直近一か月で作ったものを思い出すのが早いです。同じ料理を二台のどちらでも作れるなら、それは重なっています。電気圧力鍋で夕方の段取りはどう変わるかにも書きましたが、こういう家電を入れるときは、いま何を手放すかを同時に決めておいたほうが台所が詰まりません。
洗う部品の数が、忙しい時期にふるいをかける
洗うものが内釜だけの家電と、本体・内釜・ふた・パッキン・蒸気の弁で五つに分かれる家電があります。同じ料理ができるとしても、この差は毎晩ついてきます。
部品が多い家電は、余裕のある時期には問題になりません。使われなくなるのは、決まって忙しい時期です。体調を崩した週、家族の予定が立て込んだ週。そこで最初に落ちるのが、洗い上がりまで手間のかかる一台です。一度出さなくなると、次のきっかけはなかなか来ません。
買う前に数えられるのは、この部品の数です。取り外して洗うものがいくつあるか、拭くだけでいい部分があるか。食洗機がない台所で、洗い物を減らす順番で書いたことと同じで、洗い場が詰まる原因は品数より部品数のほうです。
しまい込んだ一台を、もう一度使うか決める
すでに棚の奥にある一台は、次の三つで決めています。
残すか決める3つの物差し
- 直近一か月で出したか。出していないなら、季節のものかどうかを確かめます。夏だけ・冬だけの家電は例外にしていいですが、通年のもので一か月出ていないなら、来月も出ません
- 出すまでに何手かかるか。置き場所から取り出して、置いて、電源をつなぐまでを数えます。三手を超えると、急いでいる日には選ばれなくなります
- 洗う部品がいくつあるか。四つ以上に分かれるものは、忙しい時期にいちばん先に止まります。逆に部品が少なく、役割も重なっていない台は、置き場所を確保する価値があります
三つのうち二つで引っかかるなら、その一台は当面動きません。
手放す前に、置き場所だけ変えてみる
使っていない理由が「性能が合わない」ではなく「出すのが面倒」だったなら、置き場所を変えるだけで復活することがあります。箱から出す。棚の上段から、腰の高さの棚板に移す。使う場所の近くに、コンセントを一口空けておく。それだけで、二週間のうちに一度は出す、という状態に戻ることがあります。
期間を決めるのが確実です。二週間から一か月、手の届く場所に置いてみる。それでも出さなかったなら、それは置き場所の問題ではありませんでした。そのときにはじめて、手放すか、季節や来客用として奥にしまうかを決めます。
置き場所を入れ替えるときは、熱や蒸気の逃げ方が変わります。壁との間隔や上に置いてよいものは製品ごとに違うので、移す前に取扱説明書の設置条件を確認してください。久しぶりに使う一台は、電源コードやパッキンの状態も見ておくと安心です。
おわりに
使い切れなかったのは、選び方が下手だったからでも、料理をしないからでもありません。置く場所の数と、出すまでの手数が合っていなかっただけです。
まずは、出しっぱなしにできる場所を数えてみてください。そこに入る台数が、いまの暮らしで無理なく回る台数です。棚の奥の一台も、手放すと決める前に、腰の高さに移す二週間をあげてみるといいと思います。
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※本記事は一般的な情報提供です。仕様や使い勝手は製品によって異なります。実際の使用方法・お手入れは各メーカーの取扱説明書に従ってください。

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