産休・育休中のお金はどうなる?もらえる給付3つと社会保険料の免除

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「産休に入ったら、そのあいだのお給料はゼロになるんですよね?」

答えは、給与は止まりますが、入ってくるお金はあります。健康保険から出産育児一時金と出産手当金、雇用保険から育児休業給付金。そして産休・育休の期間は、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担も会社負担も免除。給付はどれも非課税なので、手取りの落ち込みは想像より小さいことが多いんです(2026年8月時点)。

出産育児一時金|子ども1人につき50万円

健康保険から、子ども1人につき50万円。妊娠85日(4か月)以降の出産が対象で、死産や流産も含みます。双子なら胎児数分です。

50万円は、産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎週数22週以降に出産した場合の額。当てはまらないときは48万8千円です(2026年8月時点)。多くは「直接支払制度」で病院へ直接支払われるので、窓口では差額だけ。50万円を下回れば差額を請求できます。

出産手当金|産休中の給与の代わりに、日額の3分の2

産休のあいだ給与が出ない期間について、健康保険から出るのが出産手当金です。対象は、出産日(予定日より遅れたときは出産予定日)以前42日から出産の翌日以後56日目まで。多胎妊娠なら産前は98日に伸びます。

1日あたりの金額は、支給開始日以前12か月の各標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2。平均が30万円の方なら30万円÷30日=1万円、その3分の2で1日6,667円。98日分ならおよそ65万円です。

きいちゃんメモ

加入期間が12か月に満たない方は、32万円(支給開始日が令和7年4月1日以降の場合)などの決められた額で計算します。転職してすぐ産休に入る方から毎年聞かれます。

育児休業給付金|最初の180日は67%、そのあとは50%

産後休業のあとは、雇用保険から育児休業給付金です。金額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で、育休開始から181日目以降は50%に下がります。賃金日額は、産休から続けて育休に入る方なら産前産後休業を始める前の直近6か月の賃金総額を180で割った額(賃金支払基礎日数が11日未満の月は除きます)。産休中の無給の期間で計算されるわけではありません。月給30万円の方なら日額1万円、30日分で67%なら20万1千円、50%の期間に入ると15万円です。

上限もあります。2026年8月1日から令和9年7月31日までは、賃金日額の上限が16,540円、支給日数30日での支給上限額は67%で332,454円、50%で248,100円。この上限は毎年8月1日に見直されるので、最新の額を確認してください。

要件は、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月以上あることなど。申請は原則として勤務先が行い、最初と次の2つの支給単位期間をまとめて出すのが基本です。

2025年4月には「出生後休業支援給付金」ができました。母親の場合は、子の出生日(出産予定日のほうが早ければその日)から、遅い日を起算日として16週間を経過する日の翌日までの期間に、育児休業を通算14日以上取ることが条件です。あわせて配偶者も、同じ起算日から8週間を経過する日の翌日までの期間に14日以上の育児休業を取る必要があります(ひとり親など「配偶者の育児休業を要件としない場合」もあります)。満たせば最大28日分について13%が上乗せされ、給付率は80%。厚労省の資料では「手取り10割相当」とされています。産後休業のあと育休の開始が遅れると、この上乗せを取り逃すことがあります。

社会保険料は免除される。しかも年金は減らない

ここがいちばん知られていないところです。産前産後休業と育児休業(3歳未満の子を養育するためのもの)の期間は、健康保険料・厚生年金保険料が本人負担分も事業主負担分も免除されます。勤務先が申出書を出すことで適用されます。

大事なのは、この免除期間は、将来の年金額を計算するときに「保険料を納めた期間」として扱われること。

育休は令和4年10月から要件が広がり、休業開始月から終了日の翌日が属する月の前月までという従来の扱いに加えて、育休を開始した月のうちに14日以上取得した場合も免除されます。なお、賞与にかかる保険料が免除されるのは、1か月を超える育児休業等を取った場合です。

復帰後に時短勤務で給与が下がると、社会保険料も見直されます。決まるしくみは社会保険料が9月分から変わる理由に書きました。

自営業・フリーランスの場合

国民健康保険と国民年金の方に、出産手当金と育児休業給付金はありません。出産育児一時金は国民健康保険からも出ます。

国民年金保険料は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間が免除(多胎妊娠は同じ月の3か月前から6か月間)。この期間も保険料を納付したものとして老齢基礎年金に反映されます。届出は出産予定日の6か月前から可能。さらに2026年10月からは育児免除制度が始まり、実母は産前産後の免除期間に続く9か月間(合計最大13か月)が対象になります。免除の違いは国民年金の免除と猶予、どちらを選ぶ?で整理しています。

国民健康保険料も、令和6年1月から産前産後期間相当分が免除されます。出産予定月の前月から翌々月までの4か月分(多胎妊娠は3か月前からの6か月分)について、所得割と均等割が免除されます。低所得世帯の軽減とは別枠です。ただし市区町村への届出(申請)が必要で、自動で免除されるわけではありません。

給付に税金はかかるのか

出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金。いずれも所得税も住民税もかかりません。確定申告で収入として書く必要もなく、配偶者控除・配偶者特別控除を判定する合計所得金額にも入りません。

注意したいのは医療費控除です。出産育児一時金は医療費から差し引かなければなりません。一方の出産手当金は医療費を補てんするものではないので、差し引かなくてよい扱いです。

よくある質問

産休・育休中も住民税は払うのですか

払います。住民税は前年の所得にかかるので、休業中も納付は続きます。給与から引けないぶん、休業前の給与や賞与からまとめて引かれるか、納付書で自分で納める形に切り替わります。産休直前の手取りが急に減って驚く方が多いのは、これが理由です。

育休中に夫の扶養に入れますか

税金と社会保険で分かれます。税金は、給付が合計所得に入らないため、その年の給与が少なければ夫が配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる可能性があります。社会保険は、産休・育休中も自分が健康保険の被保険者のままなので、夫の被扶養者にはなりません。

おわりに

産休・育休のお金は、金額よりも「いつ、どこに、誰が出すか」でつまずきます。窓口が健康保険・ハローワーク・勤務先に分かれているぶん、抜け落ちやすいんです。母子健康手帳をもらったら、勤務先の担当者に一度聞いておく。それだけで、あとの不安がずいぶん減ります。

Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。給付の要件や金額、免除の取扱いは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険)や管轄のハローワーク、市区町村によって異なる場合があります。実際の手続きは勤務先の担当窓口または各制度の窓口でご確認ください。