青色申告の赤字は何年繰り越せる?純損失の繰越し・繰戻し

3年分の赤字繰越額を申告書で確認する女性税理士

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「開業1年目が赤字でした。税金がゼロなら、確定申告をしなくても翌年に繰り越せますか?」

青色申告者の事業所得などから純損失が生じた場合、一定の要件を満たせば、その損失を翌年以後3年間の所得から差し引けます。ただし、赤字を帳簿に残しただけでは足りません。損失が出た年から申告をつなぐことが大切です。

赤字の年は納める所得税がないこともあります。それでも、将来の黒字と相殺する権利を残すなら申告を後回しにしないでください。この記事では、2026年8月29日時点の国税庁資料をもとに、純損失の繰越しと繰戻しの違いを整理します。

青色申告の純損失は原則3年間繰り越せる

国税庁は、事業所得などが赤字となり純損失が生じたとき、その損失額を翌年以後3年間にわたり各年分の所得から差し引けると案内しています。これが純損失の繰越控除です。

なお、令和5年4月1日以後に特定非常災害の指定を受けた災害により生じた一定の純損失には、繰越期間を5年間とする特例があります。通常の事業赤字と災害による損失を同じ期間で管理しないようにしてください。

たとえば1年目に純損失300万円、2年目に控除前の所得200万円、3年目に同150万円がある単純な例なら、2年目に200万円、3年目に残り100万円を順に差し引くイメージです。実際には事業以外の所得や損失の内訳も関係するため、申告書の計算に沿って確認します。

繰越しで外せないこと

  • 損失が生じた年分について必要な申告をする
  • 翌年以後も続けて確定申告書を提出する
  • 赤字の内訳が分かる帳簿と決算書を保存する
  • 損失申告用の申告書第四表など、その年に必要な書類を確認する

途中の年が赤字や所得ゼロでも、「税額がないから申告しない」と飛ばさないようにします。繰越額が残っている間は、前年からいくら引き継ぎ、今年いくら使い、翌年へいくら残すかを毎年確認してください。

黒字に戻った年も、繰越残額を先に確認する

売上が回復した年は、その年の利益だけを見て申告を始めると、過去の純損失を使い忘れることがあります。前年の申告書第四表、損失額の計算明細、確定申告書の控えを開き、今年へ引き継がれた金額を最初に確認しましょう。

反対に、会計ソフトに残る過去の赤字をそのまま入力するのも危険です。税務上の繰越額は、帳簿上の累積赤字ではなく、提出済みの申告書で管理します。期限を過ぎた損失や、すでに別の年で使った金額が混ざっていないか、年ごとの残高を一本につなげてください。

申告書を提出した日、税務署から補正の連絡を受けた日、修正後の繰越残額も同じ表へ追記します。こうしておくと、3年間のどの位置にいるかを翌年すぐ判断できます。

会計上の赤字と、繰り越せる純損失は同じとは限らない

損益計算書の事業所得がマイナスでも、その全額がそのまま翌年の事業利益から引けると決めつけないでください。所得税では、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得などの損益通算に順序があり、損失の種類によって通算できる範囲も違います。

生活費の引出しや借入金の返済は、帳簿上の必要経費ではありません。反対に、減価償却費のように現金が出ていなくても必要経費になるものがあります。通帳残高が減ったことを、そのまま税務上の赤字と考えないことが大切です。

きいちゃんメモ

「今年はいくら赤字だったか」だけでなく、申告書上の純損失と翌年へ繰り越す残額を一枚に書きます。翌年の申告を別の人へ頼む場合にも、この表が引継書になります。

前年が黒字なら、繰戻しで還付を受ける選択もある

前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失を前年の所得へ繰り戻し、前年分の所得税の還付を請求できることがあります。将来の黒字から引くのではなく、前年に納めた税金の再計算を求める方法です。

繰戻しの還付請求は、損失が生じた年分の確定申告期限内に必要な書類を提出する手続です。前年の所得税額が小さければ還付効果も小さく、今後大きな黒字を見込むなら繰越しを選ぶ考えもあります。どちらが有利かは、前年と今後の所得見込みを並べて判断します。

赤字の原因を税務と資金繰りの両方で分ける

税務上の赤字を繰り越せても、手元資金が戻るとは限りません。固定費が重い、売掛金の回収が遅い、在庫が増えた、開業時の一時費用が大きいなど、現金が減った理由を分けましょう。

単価が低くて赤字が続く場合は、フリーランスの単価を手取りから逆算する方法を使い、必要売上を計算します。未回収が原因なら報酬が未払いのときの対応を先に進めてください。

確定申告前に数字を3年表へまとめる

残しておく引継表

  1. 損失が生じた年と申告書上の純損失額
  2. 翌年以後に差し引いた金額
  3. まだ使っていない繰越残額
  4. 繰越期限となる年
  5. 各年の申告日と申告書控えの保存場所

青色申告をこれから始める方は青色申告特別控除の条件、日々の記帳が止まっている方は確定申告の最初の3ステップから整えましょう。

やよいの青色申告 オンライン

赤字の繰越しは、青色申告を毎年続けて出していることが前提です。申告を1年飛ばすと使えなくなるので、続けやすさで選ぶのが結局いちばん確実です。青色申告決算書と申告書までを画面の順どおりに作れるので、赤字の年も手が止まりにくいのが利点です。

おわりに

個人事業の赤字は、青色申告の要件を満たせば原則として翌年以後3年間に繰り越せます。前年も青色申告なら、前年へ繰り戻して所得税の還付を請求できる場合もあります。

赤字の年こそ、申告書を出して記録を次の年へ渡すことが大切です。税額ゼロだけを見ず、繰越残額と期限を確定申告書の控えに添えてください。

税金と仕事のお金の話はX(tax_kiichan)でも書いています。

※本記事は2026年8月29日時点の国税庁公表資料にもとづく一般的な情報です。純損失の範囲、損益通算、災害損失の特例、繰越しと繰戻しの有利不利は、所得の種類や申告状況によって異なります。実際の申告は税務署または税理士へご相談ください。

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