減価償却をやさしく|10万・20万・40万円の区切りで変わる経費

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「25万円のパソコンを買ったのに、今年の経費が5万円だけって本当ですか?」

これ、青色申告なら本当ではありません。25万円まるごと今年の経費にできます。

金額によって扱いが変わる「10万円・20万円・40万円」の3つの区切りを知っていれば、買い方も買う時期も変わってきます。順番に見ていきます。

まず、減価償却とは何か

高いものを買ったとき、その金額を一度に経費にせず、使う年数に分けて少しずつ経費にするのが減価償却です。

パソコンなら4年、事務机なら8年、というように資産ごとに年数(法定耐用年数)が決まっています。25万円のパソコンを普通に減価償却すると、4年に分けるので1年あたり約6万円ずつになります。

「今年たくさん儲かったから経費を作りたい」というときに、これは効きません。だから区切りを知っておく価値があります。

10万円未満:全額その年の経費

1つあたり10万円未満なら、消耗品費などとして買った年に全額落とせます。誰でも使えます。

判定は1セットごとです。パソコン本体とモニターを別々に使えるなら別々に判定しますが、応接セットのように一式で機能するものはまとめて判定します。

きいちゃんメモ

税込か税抜かは、経理の方式で決まります。免税事業者や税込経理をしている方は税込金額で判定します。9万8千円の商品も、税込だと10万7,800円になって10万円を超えます。ここで判定を間違える方が多いので気をつけてください。

20万円未満:3年で均等に落とす選択肢

10万円以上20万円未満のものは、「一括償却資産」として3年間で均等に経費にする方法が選べます。白色申告でも使えます。

18万円のものなら、耐用年数に関係なく毎年6万円ずつ3年間。パソコンの4年より1年短くて済みます。

もうひとつの利点として、一括償却資産は償却資産税の対象外です。設備が増えてくると効いてきます。

40万円未満:青色申告なら全額その年に(2026年4月から拡大)

ここが本題で、しかも2026年に大きく変わったところです。

青色申告をしている中小事業者は、少額減価償却資産の特例によって、一定額未満のものを買った年に全額経費にできます。この上限が、令和8年度の税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられました。

  • 2026年3月31日までに取得 → 30万円未満まで
  • 2026年4月1日以後に取得 → 40万円未満まで

冒頭の25万円のパソコンが今年まるごと経費になるのは、この特例のおかげです。いまは35万円のものでも一括で落とせます。

条件は次のとおりです。

  • 青色申告をしていること
  • 年間の合計は300万円まで(ここは変わっていません)

申告書に明細を書く必要があるので、会計ソフトで「少額減価償却資産」として登録しておいてください。

きいちゃんメモ

ネット上の解説記事にはまだ「30万円未満」と書かれたものが多く残っています。取得日が2026年4月1日より前か後かで判定が変わるので、去年の分をさかのぼって処理するときは混同しないよう気をつけてください。

金額ごとの扱い

  • 10万円未満/全額その年の経費(誰でも)
  • 10万〜20万円未満/3年で均等に(誰でも)/40万円未満の特例も選べる(青色)
  • 20万〜40万円未満/全額その年の経費(青色・年間300万円まで)
  • 40万円以上/法定耐用年数で減価償却

買うタイミングで差が出る

知っておくと効くのが、減価償却は「使い始めた月」から月割りで計算するというルールです。

12月に60万円の機材を買っても、その年の経費になるのは1か月ぶんだけ。ほとんど今年の節税にはなりません。

いっぽう40万円未満の特例なら、12月に買っても全額がその年の経費です。年末に利益が出すぎたときは、この差が大きい。

ただし、当たり前ですが使わないものを買うのは損です。35万円使って減る税金は、税率20%なら7万円ほど。28万円は出ていったままです。「どうせ来年買うもの」を前倒しするのが正しい使い方です。

よくある質問

家事按分するものはどう判定しますか

金額の判定は按分前の取得価額で行います。25万円のパソコンを事業80%で使う場合、40万円未満なので特例は使えますが、経費にできるのは20万円です。

中古で買った場合は

中古資産は耐用年数を短く見積もれます。使い切ったものなら「法定耐用年数の20%」まで短縮でき、パソコンなら2年になります。短い年数で早く経費化できるので、中古が有利になる場面もあります。

スマホは何年ですか

10万円未満なら消耗品費で全額。超える場合は「器具備品」として扱い、一般的には数年で償却します。分割払いで買っても、経費の計算は支払った額ではなく本体価格で行う点に注意してください。

おわりに

減価償却は言葉が難しいだけで、やっていることは「高いものは分けて経費にする」だけです。

そのうえで、青色申告なら40万円未満は一気に落とせる。この一点を覚えておけば、機材を買うときの判断はずいぶんラクになります。

Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。

マネーフォワード クラウド確定申告

固定資産の登録と減価償却費の計算を、取得価額と取得日を入れるだけで毎年自動で回してくれます。10万円・20万円・30万円の区切りで処理が分かれる部分も、金額を入れた時点で候補を出してくれるので、少額減価償却資産の特例の使い忘れが起きにくいのが実務上ありがたいところです。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。少額減価償却資産の特例には適用期限や事業規模の要件があります。個別の判断は、税務署または税理士にご確認ください。

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