こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「マイナ保険証を使えば、高額療養費の認定証は誰でも申請しなくていいんですよね?」
先に結論です。マイナ保険証とオンライン資格確認で、保険診療の窓口負担は原則として自己負担限度額までになります。ただし、住民税非課税などの低所得区分に当たる方は、入院時の食事代も軽くするため「限度額適用・標準負担額減額認定」の申請が必要です。カードを持っているだけで、この認定まで自動で終わるわけではありません。
「申請不要」と「紙を持参しない」は別です
厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問」は、マイナ保険証を使うと、限度額適用認定証を申請しなくても同じ月・同じ医療機関の窓口で限度額を超える支払いを免除されると案内しています。前提は、受診先がオンライン資格確認に対応し、加入先の保険資格と所得区分を確認できることです。
| 受診時の状態 | 入院前にすること |
|---|---|
| 一般区分でオンライン資格確認ができる | 通常の限度額適用認定証は原則申請不要 |
| 低所得区分に当たる | マイナ保険証を使う場合も「限度額適用・標準負担額減額認定」を申請 |
| オンライン資格確認ができない、または保険者にマイナンバーが登録されていない | 加入先へ認定証を申請し、窓口での提示方法を確認 |
協会けんぽ「限度額適用認定証」も、一般区分はマイナ保険証なら申請不要とする一方、被保険者が低所得者に当たるときは、マイナ保険証を使っても別の認定を申請するよう案内しています。つまり低所得者は、紙の認定証を窓口へ出さなくてよい場合でも、認定を受ける申請そのものは残るという整理です。
自己負担限度額の金額、月またぎ、多数回該当、世帯合算を調べたい方は、高額療養費は月をまたぐと合算できない|2026年8月に変わった自己負担限度額へ。本記事は限度額の計算ではなく、入院前の申請に絞ります。
低所得者の認定証は、食事代の減額にも使います
名前が長いのには理由があります。「限度額適用」は保険診療の窓口負担を限度額までにする部分、「標準負担額減額」は入院中の食事代を所得区分に応じて軽くする部分です。
入院時の食事の標準負担額は、高額療養費の対象に入りません。医療費が限度額で止まっても、食事代、差額ベッド代、保険外診療は別に請求されます。だからこそ、低所得区分の方は「マイナ保険証があるから何もしない」で済ませず、食事代の認定まで確認する必要があります。
協会けんぽ「入院時食事療養費」が示す2026年6月1日以降の入院時食事代は、次のとおりです。
| 区分 | 1食の標準負担額 |
|---|---|
| 一般 | 550円 |
| 難病患者・小児慢性特定疾病患者(住民税非課税世帯を除く) | 330円 |
| 住民税非課税世帯 | 270円 |
| 住民税非課税世帯で、申請月以前1年間の入院が90日超 | 220円 |
| 住民税非課税世帯で所得が一定基準未満の70歳以上 | 130円 |
標準負担額は1食単位で、1日に負担する食事数は3食相当が上限です。
たとえば14日間に42食が提供された場合、一般区分なら23,100円、住民税非課税世帯の270円区分なら11,340円です。実際の食数や対象区分で変わりますが、申請の有無を入院前に確かめる意味は小さくありません。90日超の区分は自動で切り替わると思わず、入院期間が分かる領収書などを準備します。
入院前に進める5手順
1.加入している保険者を確認する
協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療では、提出先や様式が同じとは限りません。資格情報のお知らせやマイナポータルで加入先を確認します。市区町村の国民健康保険なのに協会けんぽへ送らないようにしましょう。
2.低所得区分に当たるか加入先へ聞く
「収入が少ない気がする」だけでは判定できません。協会けんぽでは、70歳未満の市区町村民税非課税者、70歳以上の低所得Ⅰ・Ⅱなどが案内されています。年齢や加入制度でも区分が違うため、「限度額適用・標準負担額減額認定の対象か」と名前を出して確認するのが早道です。
3.受診先のオンライン資格確認を確かめる
入院窓口へ、マイナ保険証で限度額情報を確認できるか、認定申請後に紙の認定証を持参する必要があるかを聞きます。機器や通信の状況、保険資格の反映前などで確認できない場合もあるため、入院日が近いときほど先に連絡します。
4.正しい申請書と添付書類をそろえる
協会けんぽの低所得者は、通常の「健康保険限度額適用認定申請書」では申請できません。「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を使います。マイナンバーによる情報照会を希望しない場合は非課税証明書が必要です。90日超の長期入院区分を申請する方は、入院期間が記載された領収書なども添えます。
5.適用開始と受付への伝え方を確認する
協会けんぽの低所得者向け認定は、原則として申請月の初日から最初に到来する7月末までが有効期間です。過去の月へさかのぼる認定証は交付されないため、予定入院なら早めに申請します。申請後は病院の受付へ「低所得区分の減額認定を申請済み」と伝え、認定情報が確認できているかまで確かめます。
申請前のチェックリスト
- 自分の保険者名と提出先を確認した
- 低所得区分の対象か保険者へ確認した
- 病院がオンライン資格確認に対応している
- 「標準負担額減額」まで入った申請書を選んだ
- 非課税情報と長期入院の添付書類を確認した
- 病院へ認定情報の反映と紙の持参要否を聞いた
退院後は領収書と給付額を一緒に残す
医療費控除をする年は、病院の領収書だけでなく、高額療養費などで補てんされた金額も記録します。計算のつながりは医療費控除は10万円を超えなくても使える|見落としがちな条件で確認できます。市販薬の支出が多い方は、通常の医療費控除と併用できない医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらが得か分岐点は3つも別に判定してください。
公的制度と認定を確認しても、食事代や差額ベッド代、休業中の生活費は残ります。入院に備える家計を整えるなら、医療保険だけで結論を出す前に、固定費の見直し、効果が大きい順に5つで毎月の支出を分けてみてください。制度で減らせる負担と、家計で備える負担を混ぜないことが大切です。
おわりに
マイナ保険証があれば、一般区分の高額な保険診療は窓口で上限を超えて立て替えない仕組みが整っています。でも、低所得者の食事代の減額まで自動とは限りません。加入先、所得区分、病院の対応、申請書の名前、添付書類の5つを入院前に確認しましょう。
Xでも、暮らしとお金の制度を確認する順番を書いています。よかったら @tax_kiichan をのぞいてみてください。
※本記事は2026年9月13日時点の厚生労働省・全国健康保険協会の公開情報をもとにした一般的な説明です。所得区分、申請方法、必要書類、認定情報の反映、窓口での提示方法は、年齢、加入する保険者、医療機関によって異なる場合があります。入院前に加入先の保険者と医療機関へご確認ください。

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