こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「12月に納品した仕事の報酬が、翌年1月に振り込まれました。売上はどちらの年に入れますか?」
原則は、振り込まれた1月ではなく、商品を引き渡した日やサービスを完了した日が属する年の売上です。12月に仕事を終えて報酬を受け取る権利が確定し、1月に入金されたなら、12月の年分で売上と売掛金を記録します。
請求書の日付や入金日だけでなく、「いつ仕事を終えたか」を見るのがポイントです。この記事では2026年8月29日に国税庁の取扱いを確認し、年末をまたぐ売上の考え方を整理します。
入金日ではなく、収入すべき時期で年分を決める
国税庁は、12月20日に商品を売り、代金を翌年1月10日に受け取った場合でも、商品を売った年の収入になる例を示しています。まだ現金が入っていなくても、年末までに収入すべき権利が確定した金額をその年の収入に含める考え方です。
仕事の形によって、基準日は少し違います。通常の商品販売は引渡日、物の引渡しがある請負は完成して引き渡した日、引渡しがない請負は約束した役務を完了した日、人的サービスは原則として提供を完了した日です。
年末に確認する日付
- 商品販売:相手へ商品を引き渡した日
- 制作物などの請負:完成物を引き渡した日
- 引渡しのない請負:契約した仕事を完了した日
- 継続的なサービス:契約上、期間や進み具合に応じ報酬が確定する日
検収が必要な契約では、納品しただけで報酬が確定したといえるかを契約書で確認します。毎月末締めの継続業務なら、どの期間の役務に対する報酬かも見ます。取引ごとに都合のよい日へ変えず、契約と実態に合う基準を継続してください。
12月は売上と売掛金、1月は入金を記録する
例として、12月25日に10万円の仕事が完了し、翌年1月31日に普通預金へ入金されたとします。消費税や源泉徴収をいったん考えない単純な形なら、12月は「売掛金10万円/売上10万円」、1月は「普通預金10万円/売掛金10万円」と記録します。
1月の入金時にもう一度売上を計上すると二重になります。反対に、12月に何も記録せず1月の入金だけを売上にすると、年分がずれます。年末には未入金の請求書一覧を作り、帳簿の売掛金残高と照合しましょう。
源泉徴収された報酬は、請求額、実際の入金額、差し引かれた源泉所得税を分けて記録します。入金額だけを売上にすると、売上と前払いした税金の両方が少なくなってしまいます。
入金がない売上を忘れないため、請求書には「発行日」だけでなく「対象期間・納品日・支払期限」を残します。年末の売掛金一覧は、未払いへの対応にもそのまま使えます。
請求書を1月に出せば翌年売上、とは限らない
12月に仕事が完了しているのに、請求書を1月に作ったというだけで翌年売上になるわけではありません。請求作業が遅れた日と、契約上の仕事が完了して報酬を受ける権利が確定した日は別です。
一方、12月中は作業途中で、翌年1月に完成・納品した仕事まで12月売上へ入れる必要はありません。契約書、メール、納品記録、検収結果を並べ、仕事がどこまで終わっていたかで判断します。
年分を説明できる資料を取引ごとに残す
判断の根拠は請求書一枚だけにしません。契約書の納品条件、作業完了メール、相手の検収連絡、納品データの履歴を取引ごとにまとめます。翌年入金の明細には、前年末のどの売掛金を回収したのかが分かるメモを付けてください。
決算後に請求書の日付だけを一括変更するのではなく、当時の契約と実態をたどれる状態にすることが、年分の説明と二重計上の防止につながります。
現金主義の特例を選んでいる人は例外
一定の小規模な青色申告者は、期限までに届出をすることで、実際の現金の受取り・支払いを基準に所得を計算する現金主義の特例を選べます。国税庁の案内では、前々年分の事業所得と不動産所得の金額が、所定の計算で合計300万円以下などの条件があります。
「小規模だから自動的に現金主義」ではありません。届出をしていない青色申告者が、入金日だけで年分を決めることは避けてください。自分が特例を選択済みか分からなければ、過去の届出控えを確認します。
年末の売上は4資料を突き合わせる
12月31日にする確認
- 契約書で納品・検収・報酬確定の条件を見る
- 12月までの納品記録と作業完了メールを集める
- 請求済み・未請求を含む売掛金一覧を作る
- 翌年1月以降の入金を売掛金一覧と照合する
売上が増えてきた方は、年分のずれが消費税の判定にも影響します。売上1,000万円を超えそうなときの確認事項も早めに見てください。帳簿の作り方から整えたい方は会計ソフトの比較、マネーフォワード利用者はプラン別機能へ進めます。
1月になっても入金されない請求がある場合は、税務処理とは別に回収の行動が必要です。報酬が未払いのとき最初にすることも確認してください。
やよいの青色申告 オンライン
年をまたぐ売上は、請求した日と入金された日を別々に記録できると迷いにくくなります。売掛金を立てて入金時に消し込めるか、取引先ごとの未入金を一覧で確かめられるか、青色申告の決算書まで同じソフトで進められるかを、公式サイトで確認してください。
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おわりに
12月の仕事代が1月に入金されても、原則として入金日だけでは年分を決めません。商品を引き渡した日、仕事を完了した日、契約上報酬が確定した日を確認します。
年末の未入金売上は、請求書一覧ではなく「完了した仕事一覧」から探すと漏れにくくなります。12月の予定表とメールを開き、未請求分も含めて一件ずつ確認しましょう。
税金と仕事のお金の話はX(tax_kiichan)でも書いています。
※本記事は2026年8月29日時点の国税庁公表資料にもとづく一般的な情報です。収入計上日は、取引の種類、契約内容、検収条件、継続して採用する経理方法、現金主義特例の適用状況などで異なります。個別の年分判定は税務署または税理士へご相談ください。

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