試供品とサンプルが引き出しに溜まっていくのは、片づけのせいじゃない

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「引き出しを開けたら、また試供品が出てきた。いつもらったものかも、もう思い出せない」

洗面所の引き出し、コスメポーチの内ポケット、旅行用のバッグの底。小さなパウチや、二つ折りの紙箱、ミニサイズの化粧水が、いつのまにか層になっています。

先に言ってしまうと、これは片づけが下手だから起きていることではありません。使わずに戻してしまうのは、使うかどうかの判断を、そのつど先に延ばしているからです。だから収納を仕切っても、袋を立てて並べても、数はあまり減りません。減らないのは当然で、減らすための行動を私たちはまだ一度もしていないのです。

引き出しを開けたときの、あの数秒

指でつまむと、中身の厚みがわかります。まだたっぷりしているもの、半分だけ使って端を折ったもの、押しても動かないくらい薄いもの。奥のほうは文字がかすれて、何の役割のものだったのか読み取れません。

「そうだ、これがあった」と思うのに、手はそれを取り出さずに、いつも使っているボトルへ伸びます。そして引き出しを閉める。あの数秒の気まずさは、袋に向いているのではなくて、自分に向いています。まだ何もしていない自分を、引き出しの中に見てしまう感じ。

ここで「私って本当にだらしない」まで行かなくていいと思っています。溜まっているのは意志の弱さの証拠ではなく、いくつかの気持ちが重なった結果です。順に見ていきます。

「いつか、特別な日に」と思って戻してしまう

いちばん強いのが、これだと思います。ふだんの朝には少し立派すぎる気がして、大事な予定の前の夜まで待とうとする。ところがその日が来ると、いつものものを使います。ぶっつけ本番で慣れないものを顔にのせるのは、心細いからです。

つまり、特別な日のために取っておいたものは、特別な日にはむしろ選ばれません。取っておく理由と、使う日の条件が、そもそもかみ合っていない。この矛盾に気づかないまま、袋は何度も引き出しに戻ります。

きいちゃんメモ

「特別な日に」と思ったら、その場で予定のない平日の夜に読み替えてしまうと動けます。何かのついでではない、ただの水曜日。だめでも次の日の朝でやり直せます。

一度きりでは、合うかどうかを決められない

小分けの乳液を一晩使って、翌朝の肌を見ても、たいていは「よくわからない」で終わります。前の日に何を食べたか、何時に寝たか、部屋が乾いていたか。肌の様子はいろいろな事情に左右されるので、一回分では判断がつきません。

判断がつかないから、結論を保留する。保留したものは捨てられないので、引き出しに置く。とても筋の通った行動です。合うか合わないかを見きわめようとする人ほど、溜まりやすいのだと思います。

加えて、新しいものを試したい気持ちと、いつものものに戻る安心とが、鏡の前でいつも引っぱり合っています。試すのは楽しい。でも朝は時間がないし、失敗すると一日そのまま出かけることになる。だから手は結局、慣れたほうへ動きます。この揺れは、意志ではなく段取りの問題です。朝の手順そのものについては、夕方の化粧崩れ、原因は夕方ではなく朝の手順にあるかもしれないのほうで書きました。

袋には、もらった日のことが一緒に付いてくる

売り場で腕に少しのせてもらいながら話した数分。友人がおまけを分けてくれたときの「これ良かったよ」という言い方。旅先の宿の洗面台に並んでいた小瓶。ものだけを見れば小さな袋なのに、そこには誰かの好意や、その日の気分が付いています。

だから捨てにくい。捨てると、あの数分ごと手放すような気がしてしまう。ここは合理では解けないところで、無理に割り切らなくていいと思っています。ただ、残したいのは袋ではなく、そのときの記憶のほうだと気づくと、少し手が動きます。

旅行用にとっておく、という理由も似ています。荷物を軽くしたい気持ちは本当なのに、その旅行の予定はまだ立っていません。予定のない未来のために場所を用意しておくと、引き出しは静かに埋まっていきます。

置いておいていいもの、手放していいもの

ここで「全部使い切りましょう」と言うつもりはありません。正解は一つではなくて、置いておいていい場合と、もう手放していい場合が両方あります。

置いておいていいのは、こんなとき

  1. いつ使うかが具体的に決まっている(今週の夜、来月の帰省の荷物)
  2. もらった経緯そのものが、開けるたびにうれしい
  3. ふだんのものが切れたときの控えとして、置き場所が決まっている

手放していいのは、こんなとき

  1. 何のためのものか、見ても読み取れない
  2. 開けたときの香りや質感が、以前と変わったように感じる
  3. 三回以上、手に取って戻している(それはもう答えが出ています)

開けたあとどのくらいで使い切るのが良いかは製品によって異なるので、ここで日数を決めることはできません。パッケージやメーカーの案内に従ってください。肌に触れるものなので、迷ったら無理に使わない、が私の考えです。

よくある質問

いちどに全部処分したほうが早いですか

その勢いがある日はそれでいいと思います。ただ一気にやると、あとで「あれを残しておけばよかった」が残りがちです。引き出しの手前の列だけ、と決めて始めるほうが、気持ちの上では続きます。数えるところから始めるやり方は、在庫を数えると見える3つのルールのほうにも書いています。

もらうのをやめたほうがいいのでしょうか

やめなくていいと思います。試せるのはやっぱりありがたいことです。もらったその場で「これは今週の夜に使う」と行き先を決めておくと、引き出しを経由しなくなります。溜まるのは、行き先が空欄のまま持ち帰ったときです。

使い切れないと、なんとなく罪悪感があります

その気持ちは、ものを大事に思っている証拠のほうだと思います。合わなかったと分かったこと自体が、ちゃんとした結果です。分かった時点で、その袋の役目は終わっています。

おわりに

引き出しに溜まっているのは、迷いの跡です。試してみたかった、まだ決めたくなかった、あの日の会話を捨てたくなかった。どれも、ぞんざいではない人の手つきだと思います。

今夜、手前の一列だけ見てみて、行き先が決まっているものと決まっていないものに分けるだけでも十分です。片づけられない自分を責める必要は、まったくありません。

日々のこまごました話はきいちゃんのX(@tax_kiichan)でも書いています。よかったら覗いてください。

※本記事は一般的な情報提供です。肌や髪の状態には個人差があり、合うもの・合わないものは人によって異なります。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。