引っ越しの総額は家賃の8か月分?8万円の部屋で全費用を積み上げた

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「引っ越しの見積もりが7万円だったので、15万円くらい用意しておけば足りますよね?」

足りません。引っ越し業者に払うお金は、総額のせいぜい1割です。家賃8万円のひとり暮らしで全部を積み上げると、総額はおよそ65万円。家賃の約8か月分になります。「トラック代さえ用意すれば動ける」と思って貯金が足りなくなった、という話は本当によく聞きます。先に全体像から出します。

引っ越しのお金は5つの箱に分かれます

  1. 新居の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・日割家賃・火災保険料・保証会社の保証料・鍵交換代)
  2. 引っ越し業者に払う運送代
  3. 家具家電やカーテン、照明の買い足し
  4. いま住んでいる家を出るときの原状回復や清掃の費用
  5. 住所変更や回線の移転など、こまかい手続きの費用

総額の3分の2を占めるのは1番の初期費用です。業者選びより、物件選びのほうが金額に効きます。

家賃8万円のひとり暮らしで積み上げてみる

敷金1か月・礼金1か月の物件に、月の半ばに入居する前提で置いてみます。

項目金額の目安
敷金(1か月)80,000円
礼金(1か月)80,000円
仲介手数料(1か月+消費税)88,000円
前家賃(翌月分)80,000円
日割家賃(半月分)40,000円
火災保険料(2年分)15,000円
保証会社の保証料40,000円
鍵交換代20,000円
引っ越し業者(単身・近距離・通常期)60,000円
家具家電・カーテン・照明の買い足し100,000円
旧居の清掃代など退去費用30,000円
手続きや荷造り資材のこまごました出費20,000円
合計653,000円

仲介手数料の88,000円は、借主が承諾した場合の上限額の例です。家賃8万円に対して、約8.2か月分。これはあくまで一例で、金額は地域と物件によって大きく幅があります。礼金なしの地域もあれば、駐車場代や町会費が乗る物件もあります。それでも「家賃の6か月分から8か月分」を先に頭に置いておくと、見通しを外しません。

もうひとつ、金額と同じくらい大事なのが払う順番です。初期費用の44万円は契約のときにほぼ一括で入れることになり、業者への支払いは引っ越し当日、家具家電は入居してすぐ。つまり2週間ほどの間に60万円近くが出ていきます。総額としては払える人でも、この山を越えられずにカードの分割に頼ってしまう。そこで利息を払うのは、いちばんもったいないパターンです。

初期費用は値切るより「条件で選ぶ」

仲介手数料は、居住用の賃貸では原則として借主・貸主それぞれ家賃0.55か月分(税込)が上限です。借主から家賃1か月分+消費税(1.1か月分)を受け取れるのは、依頼のときに借主が承諾した場合にかぎられます。貸主と借主の合計でも1.1か月分が上限です。つまり「1か月分+税」は承諾を前提とした金額なので、契約の前に内訳を確認する余地はあります。そのうえで「半額」「無料」をうたう物件を最初から選ぶほうが効きます。礼金ゼロの物件なら、それだけで8万円が消えます。敷金は預けるお金なので、退去のときに精算されます。火災保険も、不動産会社にすすめられたものにそのまま入る方が多いのですが、指定がなければ自分で選べる場合もあります。ここも契約書で確認してください。

きいちゃんメモ

いちばん見落とされるのが保証会社の保証料です。入居時に家賃の0.5か月から1か月、その後も1年ごとに1万円前後の更新料がかかる契約が少なくありません。連帯保証人を立てられる場合でも保証会社の利用が必須という物件が増えています。契約前に総額を聞いてください。

費用を下げる5つの打ち手。秋はねらい目です

総額が大きいぶん、下げしろもあります。ただし手当たりしだいに交渉するより、効く順に手を打つほうが早いです。

安くするなら、この順に

  1. 時期をずらす。3月から4月の繁忙期は運送代が1.5倍から2倍になります。9月から11月は比較的落ち着く時期です。
  2. 平日、午後便、時間を業者におまかせする便を選ぶ。同じ荷物でも数万円変わります。
  3. 先に荷物を減らす。見積もりは荷物の量で決まるので、粗大ごみの申し込みは1か月前から。
  4. 相見積もりを3社。同じ条件を伝えて比べるだけで、下がることがあります。
  5. 礼金ゼロ、仲介手数料半額の物件から探す。ここが総額に最も効きます。

いま8月なので、これから動く方はちょうど有利な時期に当たります。夏休みと年度末を外した秋は、業者の予約も取りやすく、金額も落ち着きます。急ぎでないなら、9月から11月にずらすだけで数万円変わります。

敷金は戻ってきますか

全額とは限りません。普通に住んでいて生じた傷みの費用は、原則として貸主の負担と整理されていますが、清掃代を借主負担とする特約が付いていることもあります。どこまでが自分の負担かは契約書で確認してください。退去時の立ち会いの前に、入居時の写真を見返しておくと話が早いです。

自宅兼事務所を移す場合、費用は経費になりますか

事業に使う部分に対応する金額は経費になる余地があります。ただし住まいの引っ越しという性格が強い支出なので、面積などの合理的な基準で分ける必要があり、判断は状況によります。迷ったら領収書を残したうえで個別に確認してください。

家具家電は「借りる」も並べて比べる

上の積み上げで10万円を置いた「家具家電・カーテン・照明の買い足し」は、住む期間が短いほど買わない選択が効きます。1〜2年で次の異動がある方、単身赴任、学生のあいだだけ——という場合は、レンタルの総額と買った場合の金額を並べてから決めてください。品目や料金は申込み前に公式ページで最新表示を確認してください。

おわりに

引っ越しでお金が足りなくなる人は、たいてい計算を間違えたのではなく、数える箱が足りていません。家賃の8か月分という数字さえ持っていれば、部屋を見に行く前に「この家賃は自分に無理がないか」を判断できます。動く前に、まず総額から決めてください。そのうえで、いくらまでなら手元の現金で払えるかを先に書き出しておくと、物件を見に行っても気持ちで押し切られずにすみます。

暮らしとお金のこまかい話は、エックス(@tax_kiichan)でも書いています。

※本記事は一般的な家計管理の考え方を紹介するものです。金額はあくまで例であり、適切な配分は収入や生活状況、地域によって異なります。

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