こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「夏の出費が思ったより多くて…。9月からどう立て直せばいいですか」
お盆が明けて、通帳やカードの利用明細を見て少し青ざめる。この時期、いちばんよく聞く話です。
先に結論を書きます。立て直しの第一歩は、食費や日用品といった変動費を削ることではありません。まず「夏だけ増えた支出」がいくらだったのかを、1回だけ数える。そのうえで、年末までに固定費を1つだけ動かす。この順番です。
夏の支出は、9月と10月に効いてくる
いま8月の半ば。旅行も帰省もだいたい終わって、気持ちのうえでは「もう済んだこと」になりがちです。でも、実際の引き落としはこれからです。
クレジットカードは、締め日と支払日の関係で、使ってから口座から落ちるまでおよそ1〜2か月あきます。7月末に使った分が8月末や9月の頭、お盆に使った分が9月末や10月の頭。夏の支出は、体感より2か月遅れて口座に効いてきます。
そこに重なるのが電気代です。エアコンをいちばん使う7月・8月の使用分は、請求が8月・9月に届きます。旅行代とレジャー代とエアコン代が、9月の口座で合流する。9月に「なんでこんなに残高が減っているの」となるのは、だいたいこの合流のせいです。
ボーナス払いを使った方は、いまのうちにその引き落とし月を確認してください。夏に使ったボーナス払いが12月や1月にまとめて落ちる設定になっていることがあります。忘れたころに、年末の出費と正面からぶつかります。
1つめ 夏だけ増えた支出を、1回だけ数える
家計の立て直しというと家計簿をつけ直そうとする方が多いのですが、ここでは「続ける前提の作業」はしません。1回で終わらせます。
- 6月(ふつうの月)の支出合計を出す
- 7月と8月の支出合計を出す
- その差額を書き出す
たとえば6月が28万円、7月が34万円、8月が38万円だったなら、夏だけ増えた分はおよそ16万円。この16万円が、立て直すべき相手の正体です。金額はもちろん、ご家庭によってまったく違います。
ここで大事なのが、増えた分を「毎年かかるもの」と「今年だけのもの」に分けることです。帰省の交通費や電気代は毎年きます。一方で、たまたま壊れて買い替えた家電や、重なった冠婚葬祭は来年はないかもしれない。
毎年かかるほうの金額が、来年の夏に向けて備えておく額になります。ここを分けずに「今年は使いすぎた」で終わらせると、来年もまったく同じ8月がきます。
2つめ 12月までの引き落とし予定を、紙1枚に書く
次にやるのは、9月から12月にかけて、いつ・いくら出ていくかを1枚に並べる作業です。カードごとの請求額、ボーナス払いの分、年払いにしている保険料やサブスク、車検の予定。ここまで書けば、どの月が谷になるかが見えます。
谷が見えていれば、打てる手は静かなもので済みます。危ないのは、見えないまま9月末を迎えて、慌ててその場をしのぐことです。乗り切るために分割払いやリボ払いへ切り替えるのは、いちばん避けたい対処です。手数料の分だけ、来年の家計が重くなります。
3つめ 固定費を、1つだけ動かす
変動費を削るのは、しんどいわりに元に戻りやすい。我慢が要る節約は長続きしないからです。対して固定費は、一度動かせば黙って効き続けます。
たとえば月3,000円下がれば、年末までの4か月で1万2,000円。来年1年では3万6,000円。夏の穴を埋める力としては、我慢して食費を切り詰めるよりずっと確実です。
候補は、通信プラン、使っていないサブスク、電気やガスの契約プラン、保険の内容。全部を見直そうとすると1つも終わりません。いちばん手をつけやすいものを1つだけ選んで、今月中に終わらせてください。
4つめ 年末の出費を、いま見積もる
忘れられがちですが、12月は夏と同じくらい膨らむ月です。帰省、年賀状、忘年会、クリスマス、お年玉。年内に手続きを済ませたいふるさと納税も、支出としては年末に集中します。
ここで、1つめで数えた「夏の増えた分」が効いてきます。夏に16万円増えたご家庭なら、年末も同じくらい増える前提で考えておくと、おおむね外れません。
たとえば年末の上乗せを10万円と見積もるなら、9月から12月までの4か月で割って、月およそ2万5,000円。これを「毎月の生活費」とは別の口座に寄せておく。夏と同じ驚きを、12月にもう一度味わわずに済みます。
秋のうちにやる4つ
- 6月と7・8月の差額を出して、夏だけ増えた分を1回だけ数える
- 12月までの引き落とし予定を紙1枚に並べて、谷になる月を知る
- 固定費を1つだけ動かす(全部やろうとしない)
- 年末の上乗せ額を見積もって、4か月に分けて先取りする
よくある質問
貯金を取り崩しました。すぐ戻すべきですか
急いで戻す必要はありません。取り崩したのが、そのために置いてあったお金なら、それは想定どおりに使われただけです。それより、9月から12月の引き落としを乗り切れるかを先に確認してください。戻すのは、谷を越えてからで間に合います。
家計簿アプリは入れたほうがいいですか
立て直しのためだけなら、いまは要りません。この記事でやってほしいのは3か月分の合計を比べることだけで、通帳とカードの明細があれば足ります。新しい道具を増やすと、そこで力尽きます。習慣として続けたくなったら、そのとき入れてください。
数えたら思ったより多くて、落ち込みました
数えられた時点で、いちばん難しいところは終わっています。金額がわからないまま不安でいるのと、多いとわかっているのとでは、打てる手がまるで違います。数字は責めるためではなく、来年の予算を決めるために出しています。
おわりに
夏に使ったお金は、たいてい誰かと過ごすために使ったお金です。実家に帰った、子どもをどこかに連れて行った、久しぶりに友人と会った。それは削るべきだった支出ではなくて、来年もちゃんと予算を取っておく支出だと思います。
やることは、反省ではなく引き算と足し算だけ。9月がくる前の週末に、1時間だけ時間をとってみてください。
お金まわりの小さな気づきは、X(@tax_kiichan)でも書いています。
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※本記事は、一般的な家計管理の考え方を紹介するものです。金額はあくまで例であり、適切な配分は収入や生活状況によって異なります。

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