国民年金の一部免除、残りを払わないとどうなる?|未納扱いになる落とし穴と2年の期限

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「仕事を辞めて国民年金の免除を申請したら『半額免除』で通りました。そのあと減額された納付書が届いたんですが、免除されたんだから払わなくてもいいですよね?」

答えは、一部免除は、減額された残りの保険料を納めて初めて「免除の月」になります。納めなければ、その月は未納と同じ扱いです。全額免除とちがい、一部免除は「残りは払ってください」という承認です。届いた納付書を放っておくと、年金額にも、老齢基礎年金を受け取るのに必要な10年の受給資格期間にも入りません。

日本年金機構も電子申請の案内で「一部免除の場合、減額された保険料を納付しないと一部免除が無効となり、未納期間となります」と注意しています。この記事では、令和8年度の金額、いつまでに納めればいいか、払えないときにどう考えるかを順に整理します。

令和8年度の一部免除で、毎月納める額

令和8年度(2026年度)の国民年金保険料は月17,920円です。一部免除が承認されたときに毎月納める額は、次のとおりです。

  • 4分の3免除:月4,480円
  • 半額免除:月8,960円
  • 4分の1免除:月13,440円

この額を納めた月は、老齢基礎年金の額に、全額を納めた場合の8分の5(4分の3免除)、8分の6(半額免除)、8分の7(4分の1免除)の割合で反映されます(平成21年4月分以降の割合です)。たとえば半額免除で12か月分(8,960円×12=107,520円)を納めると、令和8年度の満額847,300円をもとにした目安で、老齢基礎年金が年およそ1万5,900円増えます。残りを納めなかった月は、この反映がゼロになります。

納めないと、3つの場面で「未納」として扱われる

国民年金法は、4分の3・半額・4分の1の各免除期間を、残りの額が「納付されたものに限る」と定めています(5条4〜6項)。つまり残りが未納なら、その月は免除期間そのものになりません。影響は次の3つに出ます。

減額された残りの保険料を納めないと

  1. 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)に数えられない
  2. 障害基礎年金・遺族基礎年金の納付要件で「未納の月」になる
  3. あとから免除分を追納することもできない

実務でいちばん多い誤解が、「免除が通った=もう手続きは終わり」という受け止め方です。承認通知のあとに届く、減額された保険料の納付書こそが、一部免除の本体だと考えてください。

残りの納付期限と、2年を過ぎたとき

国民年金保険料の納付期限は、納める月の翌月末日です(土日祝日や年末年始に当たるときは翌営業日)。一部免除の残りも同じで、納付書の期限が過ぎても、納付期限から2年間はその納付書で納められます。

2年を過ぎると原則として時効で納められなくなり(国民年金法102条4項)、その月は未納のまま確定します。追納は、残りの額を納めた一部免除の月にしか使えないので、2年を過ぎた月はあとから取り戻す手段がなくなります。

きいちゃんメモ

一部免除の月は、口座振替なら毎月の「翌月末振替」だけが使えます。前納の口座振替やクレジットカード納付は選べないので、払い忘れが心配な方は口座振替を申し込んでおくと安心です。

追納とのちがいを整理する

混同しやすいのが追納です。2つは別のお金です。

  • 残りの保険料:一部免除で「納めてください」とされた分。期限は納付期限から2年
  • 追納:免除された分を、あとから任意で納めて年金額を満額に近づけるもの。追納が承認された月の前10年以内の月が対象

順番は必ず「残りの保険料 → 追納」です。残りを納めていない月は追納の対象にもなりません。追納のくわしい仕組みは国民年金の追納は10年以内の記事にまとめています。

障害年金の納付要件にもひびく

障害基礎年金を受け取るには、初診日の前日の時点で、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが原則です。これを満たさなくても、初診日が令和18年3月末日までで65歳未満なら、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たします。

残りを納めていない一部免除の月は、どちらの判定でも未納の月です。しかも判定は初診日の前日時点の状況で行うので、病気やけがのあとで残りを納めても間に合いません。ここは免除中に病気やケガをしたときの記事でも説明しています。

残りも払えないときの考え方

申請書では、全額免除、納付猶予、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の順に審査されます。一部免除になったということは、多くの場合、全額免除と納付猶予の審査には当てはまらなかったということです。それでも払えないときは、次の2点を確かめてください。

  • 失業が理由なのに、離職票などを付けた「失業等による特例免除」で申請していなかった
  • 申請書の「⑨免除等区分」欄で、全額免除や納付猶予(50歳未満の期間が対象)の番号を「×」で消していた、または備考欄で納付猶予の審査順を後ろに回していた

失業等による特例免除は、ご本人の前年所得を審査から外す仕組みです。ただし世帯主や配偶者の所得は引き続き審査されます。全額免除に変わる余地があるかは個別の事情で決まるので、承認通知を持って年金事務所に相談するのが確実です。どれにも当てはまらなければ、2年の期限内に、古い月から少しずつでも残りを納めていくのが基本になります。

納めた残りの保険料は、社会保険料控除の対象になりますか?

なります。実際に納めた年の社会保険料控除に入れられます。再就職して年末調整を受ける方は、控除証明書をもとに保険料控除申告書に書いてください。

おわりに

収入が減った時期に、減額されたとはいえ毎月の納付書が届くのはしんどいですよね。でも一部免除は、残りを納めることで初めて年金額にも受給資格にも障害への備えにも数えられる制度です。2年の猶予があるので、まずは届いた納付書を捨てずに取っておいてください。払えない月が続きそうなら、期限が来る前に相談すれば選べる道が残ります。

X(@tax_kiichan)でも、年金や税金の小さな疑問にお答えしています。

※本記事は執筆時点(2026年10月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。保険料や年金額は年度ごとに改定されます。個別の手続きはお近くの年金事務所に、税務の判断は税務署または税理士にご相談ください。

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