学生の国民年金は親が払う?学生納付特例にする?年末調整の控除と年金額で決める

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「大学生の子に国民年金の納付書が届きました。親が払えば年末調整で控除できると聞いたのですが、学生納付特例を使ったほうがいいのでしょうか?」

答えは、親の家計に余裕があるなら親が払って社会保険料控除を受ける、余裕がなければ学生納付特例を申請して、子が就職してから追納する、です。親の税率が高いほど控除の戻りは大きくなります。学生納付特例は、年金を受け取る資格の期間には入りますが、将来の年金額には反映されません。追納すれば年金額は戻せるので、未納のまま放っておくことだけは避けてください。

20歳になると、学生でも国民年金の保険料がかかります

日本に住む20歳以上60歳未満の人は、会社員や公務員、その扶養に入っている配偶者でないかぎり、学生であっても国民年金の第1号被保険者として保険料を自分で納めます。20歳になると手続きなしで加入者になり、2週間ほどで基礎年金番号通知書・納付書・学生納付特例の申請書が本人あてに届きます。

保険料は定額で、令和8年度(2026年4月〜2027年3月分)は月17,920円、12か月分で215,040円です。令和9年度は月18,290円に上がることが決まっています。まとめて払う前納の割引は、国民年金の前納の記事にまとめています。

親が払うと、親の社会保険料控除になります

社会保険料控除は、自分の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族が負担すべき保険料を支払った場合にも、支払った人が受けられます。子の国民年金保険料を親の財布から払えば、控除を受けるのは子ではなく払った親です。生活費や学費の仕送りを続けている下宿の子も「生計を一にする」にあたります。

効果は親の税率で決まります。たとえば令和8年中に12か月分215,040円(月17,920円×12)を払ったとすると、所得税率10%の親なら令和8年分の所得税がおよそ21,500円、翌年度の住民税がおよそ21,500円軽くなり、合わせておよそ43,000円です。4月分から保険料がかかる子(20歳の誕生日の前日が4月中にある子)の分を毎月納めていく場合、4月分から12月分までの9か月分161,280円を年内に払い終えたとしても、戻りはその分小さくなります(納付期限は翌月末日で、土日祝や年末年始に当たるときは翌月最初の営業日です。令和8年11月分は令和9年1月4日、12月分は令和9年2月1日が期限なので、年が明けてから期限の日に払うとこの2か月分は翌年の控除になります。年内に払った分だけがその年の控除です。納付書なら任意の月分から年度末までまとめて前納できるので年内に12か月分を払うこともできますが、その場合の控除額は割引後の額です)。所得税率20%の親なら、12か月分で所得税側が倍のおよそ43,000円になります。復興特別所得税の減少分は含めていないので、実際の戻りはこれより少し多くなります。

年末調整で受けるときは、「給与所得者の保険料控除申告書」の社会保険料控除欄に、社会保険の種類「国民年金」、保険料支払先の名称「日本年金機構」、保険料を負担することになっている人の氏名に子の名前、あなたが本年中に支払った保険料の金額を書きます。国民年金保険料は控除証明書の添付または提示が必要で、この証明書は払った親ではなく加入者である子あてに届きます。その年の1〜9月に納めた分があれば、例年10月下旬から11月上旬に子の住所に届くので、年末調整までに親の手元へ。子がマイナポータルで電子データの受け取りを選んでいると紙は郵送されないので、「ねんきんネット」から書面の再交付を申請します。

きいちゃんメモ

10月下旬以降に届く証明書に載るのは、1〜9月に納めた額と10〜12月に納める見込みの額です。10月以降に納付書でまとめて払った分は載っていないことがあります。また、秋に20歳を迎えて10月以降にはじめて納めた場合は、証明書の発送が書面なら翌年2月上旬(電子データなら1月下旬から)になります。年末調整に間に合わなければ、親の確定申告で受けてください。詳しくは家族の国民年金を払ったときの控除の記事へ。

学生納付特例は「払わなくていい」ではなく「あとで納める前提の猶予」です

学生納付特例は、対象校(大学・短大・高校・高専・専修学校など、機構の対象校一覧に載る学校)に在学していて、本人の前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下なら承認されます。審査されるのは学生本人の所得だけで、親や世帯主の所得は見ません。年度は4月から翌年3月までの1年度単位で毎年度申請が必要、窓口は市区町村か年金事務所、または指定を受けた学校です。

承認された期間は、老齢基礎年金を受け取るのに必要な10年の受給資格期間には算入されます。ただし年金額の計算には反映されません。令和8年度の満額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)で計算すると、12か月分の特例期間で老齢基礎年金はおよそ年2万1,000円少なくなります。これが65歳から一生続きます。

一方で、未納とは決定的に違う点があります。特例の承認期間は、障害基礎年金や遺族基礎年金の納付要件を見るときに免除期間として数えられ、未納にはなりません。学生のうちに事故や病気で障害が残ったとき、未納のままだと受けられないことがある障害基礎年金が、特例なら保障の対象です。「払えないなら、せめて早めに申請だけはしておく」が鉄則です。申請日より前に起きた事故や病気による障害は、障害基礎年金の対象にならないことがあります。

年金額を戻す手段が追納です。追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の特例期間に限られます。学生納付特例の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。令和8年度分なら、令和10年度中までに追納すれば加算なし、令和11年度以降は加算ありです。追納した保険料は、追納した年に払った人の社会保険料控除になります。

どちらを選ぶか、4つの判断軸

親が払うか、特例にするかを決める4つ

  1. 親の家計に余裕があるか。月17,920円を無理なく出せるなら、親が払うのがいちばん単純で、将来の年金額も減りません
  2. 親の税率はいくらか。所得税率20%以上なら、12か月分で所得税と翌年度の住民税を合わせて6万円を超える戻りになります
  3. 子が就職後に追納できる見込みがあるか。就職後の収入から月1万8千円前後を上乗せで払えるか、親子で話しておいてください
  4. 未納だけは避ける。納付書を放置すると、障害・遺族の保障が抜けることがあり、受給資格期間にも入らず、納付期限から2年で納めることもできなくなります

よくあるのは「在学中は特例、卒業後に親が追納分を払う」という形です。追納分を親が払えば、その年の親の控除になります。ただし、追納の時点で子が就職して別の家計になっていると「生計を一にする」にあたらず、親の控除にはなりません。確実なのは在学中に払うことです。

Q. 子が自分で払っても控除は受けられますか?

受けられますが、効果はほとんどありません。学生のアルバイト収入では所得税がかからないか、かかってもわずかで、控除は税金がある人にしか効きません。同じ保険料なら税率の高い親が払うほうが、家計全体の戻りは大きくなります。

Q. 控除証明書が年末調整に間に合いません

証明書は子あてに届くので、住民票を下宿先に移している子だと、下宿先に届いたまま親の手元にない、という方が毎年いらっしゃいます。再交付は「ねんきんネット」から申請でき、発送まで1週間ほどです。勤務先の締め切りに間に合わなければ、親の確定申告で受けられます。

FPカフェ(無料のお金・保険相談)

子の国民年金を親が払うかどうかは、教育費や加入している保険とあわせて家計全体で見ると判断しやすくなります。自分で整理しきれない方は、無料で相談できる窓口もあります。対象年齢や申込条件、相談後に保険の提案があるかどうかは、公式サイトで先に確認してください。

おわりに

親が払うか、学生納付特例にするか。どちらも制度として用意された選択肢で、間違いなのは納付書を放置することだけです。親が払うなら控除証明書を子から受け取る段取りを、特例にするなら追納の期限を、親子で一度話しておいてください。子が自分の年金を考える最初の機会にもなります。

年末調整や年金の控除で迷ったことがあれば、X(@tax_kiichan)でも声をかけてくださいね。

※本記事は執筆時点(2026年10月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。保険料額や年金額は年度ごとに改定されます。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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