こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「住宅ローン控除って、2年目もまた確定申告するんですよね?」
会社員(給与所得者)の方なら、住宅ローン控除の2年目以降は年末調整でできます。確定申告が必要なのは、原則として住み始めた年の分だけです。秋に届く2つの書類を勤務先に出すだけで終わります。初年度の手続きは住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要にまとめました。
この記事は2026年(令和8年)9月時点の制度にもとづきます。
年末調整の必要書類は2つ
- 税務署から届く「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」
- 借入先の金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
1つ目は、国税庁の説明書では『年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書及び給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書』と表記され、「証明書兼申告書」と略されています。中身は税務署が出した証明書と、自分で書き込む申告書がひとつづりになった紙です。入居年が古い方の書類には「(特定増改築等)」が入りますが、役割は同じです。
届く時期と回数が、2つでまったく違う
税務署の証明書兼申告書は、書面で受け取る場合、入居2年目の11月下旬ごろ(証明書方式の場合は10月下旬ごろ)に届きます(初年度の確定申告書の提出日等によっては前後することがあります)。しかも残りの控除年数ぶんが、まとめて1回だけです。控除期間が13年の方なら、12年分が一度に入っています。翌年の秋にポストを見ても入っていません(e-Taxによる交付を希望した方には毎年届きます)。
いっぽう、証明書方式の方に金融機関から届く年末残高等証明書は、各年11月下旬ごろに毎年届きます。
届いた封筒ごとしまってください。勤務先に出すのは、その年分の証明書兼申告書です。最長で13年目まで使う紙だと思えず、2年目の年末に探し始める方が毎年いらっしゃいます。
年末残高等証明書が届かない方もいます。金融機関が税務署に残高を報告する「調書方式」に移った場合、証明書は交付されず、勤務先への提出も不要です。かわりに金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を出します。対応した金融機関の一覧は国税庁のページにあります。
書き方は「印字されていることを写す」だけ
証明書の部分には、住宅の区分や居住開始年月日など、初年度の申告の内容がすでに印字されています。自分で書くのは、年末残高等証明書の残高を写して控除額を計算する部分と、その年の合計所得金額の見積額(「年間所得の見積額」欄)と住所・氏名です。控除率は入居年で決まり、2022年(令和4年)以降の入居なら0.7%です。なお残高を写すのは証明書方式の話。調書方式で書面交付の方は、年末残高等が印字されるのは入居2年目分だけ。入居3年目分以降は空欄なので、金融機関等の住宅ローン返済計画表等をもとに書きます。
初年度に決めた住宅の区分は、年末調整で変えられません。連帯債務割合も、原則として初年度の計算明細書の割合によります。
書類がない、間に合わないとき
税務署の証明書兼申告書をなくした
再交付を受けられます。納税地(原則として住所地)を所轄する税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出してください。e-Taxでも書面でも提出できます。
年末残高等証明書が年末調整に間に合わない
- その年は確定申告で受ける
- 翌年1月31日までに証明書の交付を受けられたら、それを給与の支払者(勤務先)に提出して、年末調整の再計算をしてもらう
再計算ができるかは勤務先の事務にもよります。まず担当者に相談を。
会社員でも確定申告が必要になる例外
年の途中で転職し、前職分を確認できない
年末まで勤めていれば、転職先の年末調整で控除を受けられます。ただし前の勤務先の源泉徴収票を出し、前職分を含めて年末調整してもらうのが前提です。前職分の給与や源泉徴収税額を確認できないときは年末調整ができず、確定申告で精算します。年内に再就職していない方も、年末調整をする勤務先がないので確定申告です。
給与が2,000万円を超える
1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える方は、年末調整の対象外なので、確定申告で控除を受けます。
住宅ローン控除そのものにも「その年の合計所得金額が2,000万円以下」という条件があります(床面積40㎡以上50㎡未満の「特例居住用家屋」「特例認定住宅等」は合計所得金額1,000万円以下)。年末調整ができないことと、控除が受けられないことは別です。給与の総額と合計所得金額は同じ数字ではありません。
副業などで別に確定申告をする
別の理由で確定申告をする年は、年末調整で受けた住宅ローン控除も含めて申告書を作ります。二重に受けられるわけでも、消えるわけでもありません。申告ラインは副業20万円以下なら申告不要は本当?に書きました。
繰上返済をした
年末残高等証明書は、年末残高の予定額をもとに作られます。届いたあとに繰上返済をすると、12月31日の実際の残高と証明書の金額がずれます。年末調整に間に合うなら勤務先に伝え、間に合わなければ確定申告で精算します。
住宅ローン控除の条件のひとつが「償還期間10年以上」で、繰上返済後の償還期間で判定されます。当初の契約で最初に返済した月から、短くなったあとの最終返済月までが10年未満になると、その年以後は控除を受けられません。その通算期間が10年以上であれば、そのまま受けられます。残りの返済期間で見るのではありません。
よくある質問
年末調整に出しそびれたまま年が明けました
確定申告で受けられます。もともと確定申告の義務がない方にとっては還付申告なので、その年の翌年1月1日から5年間、提出できます。
住民税の分の手続きは要りますか
要りません。年末調整の内容は給与支払報告書で市区町村に渡るので、所得税から引ききれなかった分は翌年度の住民税に反映されます。上限は原則として前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円)で、入居年と取得の状況によっては7%(136,500円)になる方もいます。
おわりに
実務でいちばん質問が多いのが、この2年目の手続きです。やることは秋に届いた紙を年末に出すだけ。むずかしいのは書き方ではなく、それを12月まで覚えていることです。
X(@tax_kiichan)でも、年末調整や確定申告まわりの話をぽつぽつ書いています。
※本記事は執筆時点(2026年9月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。住宅ローン控除は入居した年によって控除率・控除期間・借入限度額が変わります。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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