こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「副業の収入が20万円以下なら、確定申告しなくていいんですよね?」
この認識、半分は正しくて、半分は危ないです。
正確には、所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要というのが答えです。ここを知らずに何もしないままにしてしまう方が本当に多い。
この記事では、20万円ルールの正しい中身と、勘違いしやすい3つの落とし穴を整理します。
20万円ルールの正しい意味
そもそもこのルールは、会社員(給与所得者)向けのものです。
1か所から給与をもらっている会社員で、給与以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告をしなくてよい。これが本来の内容です。
ポイントは2つあります。
「収入」ではなく「所得」で判定する
20万円で比べるのは、売上ではなく売上から経費を引いた金額です。
たとえば副業の売上が35万円、そのためにかかった経費が18万円なら、所得は17万円。この場合は20万円以下なので、所得税の確定申告は不要ということになります。
逆に言えば、「売上が20万円を超えたからもうダメだ」と早合点する必要はありません。まず経費を集計してみてください。
これは所得税だけの話
ここが最大の落とし穴です。20万円ルールは所得税の制度であって、住民税にはこのルールがありません。
つまり、副業の所得が5万円でも10万円でも、住民税の申告は必要です。お住まいの市区町村に申告書を提出することになります。
実務的には、所得税の確定申告をしてしまうのがいちばん簡単です。確定申告をすれば、その情報が市区町村にも共有されるため、住民税の申告を別途する必要がなくなります。「20万円以下だけど確定申告しておく」が、手間としてはむしろ少ない選択です。
3つの落とし穴
落とし穴1:源泉徴収された税金が戻ってこない
原稿料やデザイン料など、報酬から10.21%が源泉徴収されている副業をされている方は要注意です。
確定申告をしないと、この引かれた税金が返ってきません。所得が少ない方の場合、申告すれば還付になるケースがかなり多いです。
「申告しなくていい」は「申告してはいけない」ではありません。取り戻せるお金があるなら、申告したほうが得です。
落とし穴2:複数の副業を合算し忘れる
20万円は、副業ひとつごとの金額ではありません。給与以外の所得の合計で判定します。
クラウドソーシングで8万円、フリマアプリの転売で7万円、暗号資産で9万円。それぞれは20万円以下ですが、合計24万円なので申告が必要になります。
また、副業がアルバイトなど「給与」でもらっているものである場合は、そもそも20万円ルールの対象外で、原則として確定申告が必要になります。
落とし穴3:医療費控除やふるさと納税で申告するなら全部書く
これも見落としが多いところです。
医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税の寄附金控除などで確定申告をする場合、20万円以下の副業所得も申告書に含めなければなりません。「20万円以下だから書かなくていい」という扱いにはなりません。
ふるさと納税のワンストップ特例を使っていた方が、あとから医療費控除のために確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になって寄附金控除も申告書に書き直す必要が出てきます。この連鎖はうっかりしやすいので気をつけてください。
では、どうするのが正解か
迷ったときの判断
- 源泉徴収されている副業がある → 確定申告する(還付の可能性)
- 複数の副業がある → 合計してから判定する
- 他の理由で確定申告する予定がある → 副業分も必ず含める
- どれにも当てはまらず20万円以下 → 住民税の申告だけは忘れずに
正直なところ、わたしは「迷ったら確定申告しておく」派です。手間は増えますが、あとから指摘される不安がなくなり、還付があれば戻ってくる。精神的にもすっきりします。
副業を続けるなら、記録の習慣をつくる
副業の所得が20万円を超えるかどうかは、経費をどれだけ拾えたかで変わります。ということは、記録さえあれば判断も申告もラクになるということです。
逆に、記録がないと年末に「あれ、いくら稼いだんだろう」から始まって、レシートを探すところで力尽きます。副業が続きそうだと感じたら、早めに集計の仕組みをつくっておくのがおすすめです。
会計ソフトを使えば、副業用の口座やカードを連携するだけで収入と経費が自動で集計されます。20万円を超えたかどうかも画面を見れば分かるので、判断に迷わなくなります。
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副業を始めたばかりの方に現実的な選択肢です。フリープランなら初期費用も月額も0円で使えるので、「まだ規模が小さいのにソフト代を払うのは気が重い」という段階でも始められます。収入と経費を記録する習慣ができるだけで、年末の作業が別物になります。
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マネーフォワード クラウド確定申告
副業が育ってきて青色申告を考える段階になったら、こちらが有力です。銀行やカードとの連携が強く、明細の自動取り込みで手入力がほとんど不要になります。本業がある方ほど記帳に使える時間は限られるので、自動化の強さがそのまま続けやすさになります。
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よくある質問
確定申告すると会社に副業がバレますか
確定申告そのものが会社に通知されるわけではありません。ただし、住民税は原則として給与から差し引かれる形で会社経由になるため、金額の変化から気づかれる可能性はあります。申告書で住民税の納付方法を「自分で納付」に指定すれば、副業分を自宅に納付書で届けてもらう形にできます(自治体によって扱いが異なる場合があります)。
フリマアプリで私物を売ったお金も対象ですか
生活用品を売った分は、原則として課税されません。ただし、転売目的で仕入れて売っている場合や、貴金属・骨董品などで1個30万円を超えるものを売った場合は対象になります。「継続して利益を出す目的があるか」が分かれ目です。
住民税の申告はどこでするのですか
お住まいの市区町村の窓口です。多くの自治体では、所得税の確定申告と同じ2月中旬から3月中旬が受付期間になっています。様式は自治体のサイトからダウンロードできることが多いので、確認してみてください。
おわりに
20万円ルールは、便利な言葉として広まったぶん、誤解も一緒に広まってしまった制度だと思います。
覚えていただきたいのは、「所得税は不要でも住民税は必要」「源泉徴収されているなら申告したほうが得なことが多い」の2つだけです。この2つを知っていれば、大きな失敗は避けられます。
Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。
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※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。住民税の取り扱いは自治体によって異なる場合があります。個別の判断は、お住まいの市区町村または税理士にご確認ください。

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