個人事業主の年末棚卸しはどうする?在庫の数え方と仕訳

12月31日の商品在庫を棚卸表へ記録する女性税理士

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「年末に残った商品は、仕入れた年の経費のままでいいですか?数えるだけでも大変です」

販売用の商品や材料が年末に残っているなら、原則として棚卸しが必要です。仕入れた金額を全部その年の売上原価にするのではなく、12月31日に残る在庫を差し引いて、その年に売れた分の原価を計算します。

棚卸しは、利益を小さくするために在庫を低く見積もる作業ではありません。数量を実地に確かめ、決められた方法で金額にする決算作業です。この記事では、2026年8月29日時点の国税庁資料をもとに、個人事業主の年末棚卸しを順番に整理します。

売上原価は「期首在庫+仕入-期末在庫」で計算する

国税庁の決算の手引きでは、売上原価を「年初の棚卸高+年間の仕入高-年末の棚卸高」で計算します。たとえば、期首在庫20万円、年間仕入100万円、期末在庫30万円なら、売上原価は90万円です。

期末在庫30万円は、買った年の経費から消えてしまうわけではありません。翌年の期首在庫となり、その商品が売れる年の売上原価へつながります。期末在庫をゼロにすると当年の経費が過大になり、反対に二重に数えると利益が過大になります。

棚卸しの対象になり得るもの

  • 販売するために仕入れた商品
  • 完成した製品、半製品、製作途中の仕掛品
  • 製造・制作に使う原材料、副産物、作業くず
  • 委託販売先に預けている自社の商品
  • 年末に未使用の包装材料、事務用品などの消耗品

自分の倉庫にない物も漏らさないでください。国税庁は、委託販売のため他店へ預けた商品や、加工のため他工場へ出した原材料も棚卸資産に含むと案内しています。一方、相手から預かっている商品は自分の在庫ではありません。

基準日は12月31日。前後の日に数えたら動きを戻す

個人事業の棚卸日は12月31日です。忙しくて当日に数えられない場合は、年末の多少前後に実地棚卸しをしても差し支えないとされています。ただし、その棚卸日と12月31日の間にあった仕入れ、販売、返品などを加減し、12月31日現在の数量へ戻す必要があります。

たとえば1月2日に数えるなら、1月1日と2日の入荷分を除き、その間に販売した分を戻すなど、商品の動きに沿って調整します。「正月に数えた数量をそのまま12月31日の在庫にする」のは避け、調整表を残してください。

きいちゃんメモ

ネットショップは、倉庫在庫だけでなく、発送済み・未出荷・返品処理中の区分が大切です。販売管理画面のスクリーンショットやCSVを、12月31日時点と分かる名前で保存しましょう。

数量を数えたら、届出済みの評価方法で金額にする

棚卸資産は、種類、品質、型などに分けて数量を実地に調べます。その後、税務署へ届け出ている評価方法で金額にします。国税庁の手引きでは、評価方法の届出がない場合は最終仕入原価法です。年末に最も近い時期の仕入単価へ、年末数量を掛けて計算します。

「売れ残ったから半額」「去年も同じくらいだったから概算」と、根拠なく値下げしないでください。災害で著しく損傷した物や、棚ざらし・流行遅れで通常価格では売れない物などには別の評価が認められる場合がありますが、通常在庫と分け、状態や処分可能価額の根拠を残します。

未使用の消耗品と仕掛品を見落とさない

棚卸しは、物販だけの話ではありません。まだ使っていない包装材料、ガソリン、事務用品、使用可能期間が1年未満または取得価額10万円未満の工具・備品なども範囲に含まれます。ただし、通常の年に比べて特に増えていない消耗品などは、省略しても差し支えないという案内があります。

制作業や製造業では、完成品だけでなく、年末時点で作業途中の仕掛品も確認します。商品名だけでは作業段階が分からないため、案件名、数量、材料費、外注費など、評価の根拠を残しましょう。個別性が高い案件は、原価計算方法を税理士へ確認すると安心です。

棚卸表には「あとから再現できる情報」を残す

年末棚卸しの5手順

  1. 保管場所、委託先、返品中の商品を洗い出す
  2. 商品・品質・型ごとに数量を実地確認する
  3. 12月31日以外に数えた場合は、その間の増減を調整する
  4. 届出済みの評価方法で単価を決める
  5. 数量メモ、単価資料、計算表、写真を棚卸表と一緒に保存する

棚卸表には、品名、数量、単価、金額、保管場所、確認日を入れます。数えたときの手書きメモも捨てず、完成した棚卸表と一緒に保存してください。帳簿・書類の保存については帳簿と領収書の保存期間も確認できます。

年末の未入金売上も同時に見直す方は12月の仕事代が翌年入金になる場合、減価償却資産と少額備品の区分は減価償却が必要になる金額の区切りへ進んでください。帳簿全体を整えるなら会計ソフトの比較も役立ちます。

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棚卸しは、数えたあとの仕訳でつまずく方が多い工程です。期首と期末の在庫を入れれば売上原価まで自動で計算されるので、12月の作業を「数える」だけに寄せられます。銀行やカードの明細を自動で取り込めるのも、年末にまとめて片づける方には効きます。

おわりに

年末棚卸しでは、12月31日に自分が所有する商品、材料、仕掛品、未使用の消耗品を確認し、選定した評価方法で金額にします。仕入額を全部経費にしたままにせず、期末在庫を売上原価から差し引きます。

まず保管場所を一つ決め、品名・数量・単価の3列から棚卸表を作る。完璧な様式を探すより、実物を数えた記録を残すところから始めましょう。

税金と仕事のお金の話はX(tax_kiichan)でも書いています。

※本記事は2026年8月29日時点の国税庁公表資料にもとづく一般的な情報です。棚卸資産の範囲、取得価額、評価方法、仕掛品の原価計算、消費税の経理処理は、業種と取引内容で異なります。個別の決算処理は税務署または税理士へご相談ください。

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