個人事業を廃業するときの届出は?期限と最後の確定申告

個人事業の廃業届と最後の申告手続きを確認する女性税理士

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「個人事業をやめます。廃業届を1枚出せば、税務の手続は全部終わりますか?」

廃業届だけで終わるとは限りません。青色申告者は青色申告の取りやめ、消費税の課税事業者は事業廃止の届出、従業員へ給与を払っていた方は源泉所得税関係など、自分が利用していた制度に応じた手続を確認します。

2026年8月29日時点の国税庁案内では、個人事業の開業・廃業等届出書は、廃業した年分の所得税の確定申告期限までです。以前の「廃業後1か月」という情報だけで判断せず、現行様式と期限を確認してください。

税務署へ出す書類を3つに分ける

国税庁の「廃業する場合」には、主な書類として次の3つが案内されています。全員が3つすべてを出すのではなく、自分の申告状況に当てはまるものを選びます。

主な国税の廃業手続

  • 廃業する方:個人事業の開業・廃業等届出書
  • 青色申告の承認を受けていた方:所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 消費税の課税事業者:事業廃止届出書

開業・廃業等届出書の期限は廃業年分の所得税の確定申告期限、青色申告の取りやめ届出書は青色申告を取りやめようとする年の所得税の確定申告期限です。消費税の事業廃止届出書は「速やかに」と案内されています。

届出書はe-Taxソフトで作成できるものもあります。マイナンバーの記載が必要な書類を書面提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付も確認します。

廃業した年も確定申告は残る

6月30日に廃業したとしても、その日までの売上と経費を帳簿にまとめ、原則として翌年の確定申告で精算します。廃業届を出した日に所得税が自動精算されるわけではありません。

廃業後に売掛金が入金される、在庫や事業用資産を売却する、解約返戻金を受け取ることもあります。取引が廃業日にきれいに終わらない場合は、契約終了日、引渡日、入金日を残し、どの所得・年分へ入るかを確認してください。

きいちゃんメモ

廃業日は「最後に請求書を出した日」とは限りません。仕事の終了、店舗の閉鎖、契約解約、在庫処分の予定を並べ、説明できる日を決めます。

課税事業者は消費税の最終申告も確認する

個人事業者が年の途中で事業を廃止しても、消費税の課税期間は原則としてその年の1月1日から12月31日です。課税事業者なら、廃業した年分の消費税申告が残ることがあります。

インボイス発行事業者が事業を廃止するときは、原則として「事業廃止届出書」を提出し、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を重ねて出す必要はありません。登録の効力は、事業を廃止した日の翌日に失われます。簡易課税や課税事業者選択など過去の届出も集め、最終申告まで確認してください。

また、課税事業者が廃業時に残った商品、車両、備品などを家事用へ回すと、原則として時価で自分へ譲渡したものとみなされ、消費税の課税売上に含める場合があります。在庫処分や私用転換の記録も残しましょう。

消費税の納税義務を整理するには売上1,000万円を超えたときの考え方、インボイス登録をしていた方は免税事業者と登録判断も見返してください。

従業員・自治体・社会保険の手続は別にある

従業員や青色事業専従者へ給与を払っていた場合は、給与支払事務所の廃止、最後の給与に対する源泉徴収、納付、源泉徴収票などを確認します。国税の廃業届だけで、給与関係の処理が自動的に完了するわけではありません。

都道府県の個人事業税、市区町村、年金事務所、労働保険などにも、事業や雇用の状況に応じた手続があります。東京都では、年の途中で事業を廃止した場合、所得税・住民税の申告とは別に、原則として廃止の日から1か月以内に個人事業税の申告が必要と案内しています。所在地の自治体で確認してください。

帳簿と書類は廃業後も捨てない

事業をやめても、帳簿、決算関係書類、領収書、請求書などの保存期間がその日に終わるわけではありません。廃業年の確定申告や後日の確認に備え、保存期限まで管理します。

保存期間は書類と申告方法で異なります。帳簿と領収書の保存期間を確認し、紙と電子データの両方について、廃業後も開ける場所へ移してください。

届出を出す前に、未完了の取引を一覧にする

廃業日を決めたら、未回収の売掛金、未払いの仕入・外注費、残っている在庫、リースやサブスク、事業用口座とカードを一覧にします。口座や会計ソフトを先に解約すると、最後の入出金や証憑を確認できなくなることがあります。

固定資産、保証金、前払費用、借入金も帳簿残高がゼロになるとは限りません。私用へ切り替える、売却する、返還を受けるなど、その後の事実と日付を残し、税務上の扱いは資産ごとに確認してください。

最後の確定申告と入出金の確認が終わるまでは、必要なデータを書き出し、ログイン手段も維持します。廃業届の提出控えは、申告書や契約解約の控えと同じフォルダへ保存しましょう。

廃業前後の確認順

  1. 仕事・店舗・契約の実態から廃業日を決める
  2. 所得税・青色申告・消費税の該当届出を分ける
  3. 売掛金、未払金、在庫、固定資産を一覧にする
  4. 給与・自治体・社会保険の手続を確認する
  5. 廃業年の確定申告を行い、帳簿を保存期間まで残す

おわりに

個人事業の廃業では、廃業届のほか、青色申告、消費税、給与、自治体など、自分が使っていた制度ごとに出口を確認します。

届出を出すことと、最後の申告・納付・書類保存を終えることは別です。まず過去3年に提出した届出の控えを並べ、終了手続が必要か一つずつ消していきましょう。

税金と仕事のお金の話はX(tax_kiichan)でも書いています。

※本記事は2026年8月29日時点の国税庁・東京都主税局の公表資料にもとづく一般的な情報です。必要な届出と期限は、廃業理由、課税状況、雇用、所在地、法人化、死亡による承継などで異なります。個別の手続は税務署、自治体、関係機関または税理士へご確認ください。

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