こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「これ、経費にしていいんでしょうか?」
お客さまから一番多くいただく質問です。そして、多くの方が実際よりも経費を少なく申告してしまっています。「怒られたら怖いから」と、本来入れられるものを外してしまうんですね。
経費が少ないと、その分だけ余計に税金を払うことになります。もったいない話です。この記事では、判断の基準と、家で仕事をしている方向けの「家事按分」の考え方を整理します。
経費かどうかは、この一問で決まる
細かいルールを覚える必要はありません。判断の軸はひとつだけです。
その支出は、事業の売上を得るために必要だったか
これに「はい」と答えられて、かつなぜ必要だったかを自分の言葉で説明できるなら、経費にしてかまいません。逆に、説明に詰まるものは経費にしない。これだけです。
「税務署に認められるか」を先に心配する方が多いのですが、順番が逆です。まず自分の中で理由が立つかを考える。理由が立つなら堂々と入れる。それが正しい姿勢です。
見落とされがちな経費
実務でよく「入れ忘れていました」と言われるものを挙げます。
- 仕事用の書籍・雑誌/業界の知識を得るための本は研究費や新聞図書費になります
- オンライン講座・セミナー代/スキルアップのための受講料
- 各種サブスク/会計ソフト、デザインツール、ストレージ、素材サイトなど
- 打ち合わせの飲食代/取引先との会食は接待交際費、1人分のカフェ代でも打ち合わせ目的なら会議費
- クラウドソーシングの手数料・振込手数料/支払手数料として計上できます
- 名刺・印鑑・封筒などの事務用品
- 仕事用の消耗品/マウス、ケーブル、モニター台など10万円未満のもの
10万円以上のパソコンやカメラは、その年に全額は落とせず「減価償却」で数年に分けて費用にします。ただし青色申告なら、30万円未満のものを年間300万円まで一括で経費にできる特例が使えます。高額な機材を買う予定がある方は、この特例の存在を覚えておいてください。
家で仕事をしている方の「家事按分」
自宅で仕事をしている方の場合、家賃や光熱費のうち仕事で使っている割合の分だけを経費にできます。これを家事按分といいます。
大事なのは、割合の決め方に「合理的な根拠」を持たせることです。なんとなく50%にするのではなく、面積や時間から計算します。
家賃は「面積」で分ける
いちばん説明しやすいのが面積按分です。
たとえば40平方メートルの住まいのうち、8平方メートルを仕事専用スペースにしているなら、割合は20%。家賃10万円なら、月2万円・年間24万円が経費になります。
間取り図に仕事スペースを書き込んで保管しておくと、あとから説明するときに困りません。
電気代は「時間」または「面積」で分ける
電気代は、1日のうち何時間を仕事に使っているかで計算する方法が一般的です。1日8時間働いていて、週5日なら「8時間 ÷ 24時間 × 5日 ÷ 7日 = 約24%」。家賃と同じ面積割合を使う方法でもかまいません。
どちらの方法でも構いませんが、毎年同じ計算方法を使い続けることが大切です。都合のいい年だけ割合を上げる、といったことはしないでください。
通信費は実態に合わせて
インターネット回線は、仕事でほぼ常時使っているなら50〜80%程度を計上している方が多いです。スマホも仕事の連絡に使っているなら、通話・通信のうち仕事分を按分できます。
できれば仕事用の携帯を分けるのがいちばんすっきりします。分けられるものは分けてしまう、が家事按分をラクにするコツです。
家事按分の目安
- 家賃・地代:仕事スペースの面積割合(例 20〜30%)
- 電気代:仕事時間の割合、または面積割合(例 20〜30%)
- 通信費:実際の使用実態(例 50〜80%)
- 水道・ガス:来客対応などがなければ計上しないほうが説明しやすい
経費にできないもの
逆に、これは経費にならないというものも押さえておきましょう。
- 自分への給料/個人事業主は、自分に給料を払うという考え方をしません
- 国民健康保険料・国民年金/経費ではなく「社会保険料控除」で引きます(結果的に税金は下がります)
- 所得税・住民税/これらは経費になりません
- 家族との食事、私的な旅行/説明が立たないものは入れない
- スーツや私服/仕事以外でも着られるものは原則経費になりません
迷ったときの実務的な対処法
グレーだと感じたものは、その場で判断しなくて大丈夫です。レシートを取っておいて、封筒に入れておく。判断は申告前にまとめてやればいい。
そのときに役立つのが、支出の目的をひとことメモしておくことです。「〇〇社と打ち合わせ」「△△の資料として購入」。この一行があるだけで、半年後の自分が迷わなくなります。
会計ソフトを使っていれば、取引ごとの摘要欄にこのメモを残せます。銀行やカードを連携しておくと支出そのものは自動で入ってくるので、あとはメモを添えるだけ。手入力の手間がなくなるので、経費の取りこぼしも減ります。
マネーフォワード クラウド確定申告
カードや電子マネーの明細を自動で取り込んで、勘定科目まで提案してくれるソフトです。家事按分の設定にも対応しているので、家賃や電気代の割合を一度登録しておけば、毎月自動で按分後の金額を計上してくれます。レシート撮影機能もあります。
公式サイトを見る
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おわりに
経費の判断は、白か黒かではなく「説明できるかどうか」です。ズルをする必要はまったくありませんが、遠慮する必要もありません。
事業のために使ったお金は、正しく経費にしてください。それが健全な節税です。
Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。
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※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。

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