こんにちは、税理士のきいちゃんです。
「確定申告を出したあとで、間違いに気づきました。もう直せませんか?」
直せます。納める税金が増えるなら修正申告、減る(還付が増える)なら更正の請求。所得が変わったか控除が抜けていたか、という原因では分かれません。「やり直したら税額はどっちに動くか」だけを見てください。
分かれ目は「税額がどちらに動くか」だけ
やり直したあとの税額で選ぶ
- 納める税金が少なすぎた/還付が多すぎた → 修正申告
- 納める税金が多すぎた/還付が少なすぎた → 更正の請求
- まだ申告期限内(令和7年分なら令和8年3月16日まで) → 訂正申告で出し直し
所得の金額が動いても、所得控除を足しても、最終的な税額(や純損失の金額)が変わらないのであれば、更正の請求はできません。
修正申告(税金が増えるとき)
修正申告には提出期限がありません。税務署から更正を受けるまではいつでも出せます。ただし早く出すほど負担が軽くなる仕組みです。
過少申告加算税の扱いを見てください(2026年8月時点の制度)。税務調査の事前通知が来る前に自分から修正申告をした場合は、過少申告加算税はかかりません。事前通知の後で、調査による更正を予知する前に出した場合は、新たに納める税金の5パーセント。ただし新たに納める税金が「当初の申告納税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超えるときは、超える部分は10パーセントになります。調査を受けたあとの修正申告や、税務署から更正を受けた場合は10パーセント(同じ基準を超える部分は15パーセント)です。
令和5年分以降は、調査で帳簿の提示・提出を求められたのに出せなかった場合や、帳簿の売上金額の記載が本来の額の2分の1未満だった場合、過少申告加算税に10パーセントが上乗せされます(3分の2未満なら5パーセント)。
加算税がゼロでも、延滞税は別に発生します。延滞税は法定納期限の翌日から完納する日までの日数で計算されます。令和7年分の所得税なら法定納期限は令和8年3月16日です。修正申告で新たに納める税金の納期限は「修正申告書を提出する日」なので、提出したその日に納めるのが基本です。なお、期限内に申告していた方が法定申告期限から1年以上たって修正申告をした場合(重加算税が課される場合を除きます)は、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間が、延滞税の計算期間から控除されます。何年も前の分でも、延滞税が年数のぶんだけ膨らみ続けるわけではありません。
令和8年中の延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8パーセント、それ以降が年9.1パーセントです。この割合は毎年告示で変わるので、令和9年以後の割合はまだ決まっていません。その年の割合は国税庁のページで確認してください。
更正の請求(税金が減るとき)
納めすぎていた場合は「更正の請求書」を、納税地を所轄する税務署長に提出します。期限は原則として法定申告期限から5年以内。確定申告の必要がない方が還付を受けるために申告していた場合は、その申告書を提出した日から5年以内です。5年を過ぎたものは、原則として戻ってきません。ただし、判決によって計算の前提が覆ったときなど「後発的理由」に当たる場合は、その事実が生じた日の翌日から2か月以内であれば、5年を過ぎていても更正の請求ができます。心当たりがあるときは税務署に確認してください。
出したら自動的に還付される手続きではありません。税務署が調査して請求が正当と認められたときに減額更正が行われ、そこで初めて還付されます。だから請求書には「請求の理由の基礎となる事実を証明する書類」を添付します。国民年金保険料の控除もれなら控除証明書、家賃の計上もれなら決算書と帳簿・領収書の写しなどです。
書類の保存年数は帳簿と領収書は何年保存?個人事業主は7年でそろえるのがいちばん安全に書きました。5年前の分を直したいのに書類を捨ててしまった、がいちばん惜しいです。
期限内に気づいたなら、出し直すだけ
申告期限(令和7年分は3月16日)までに気づいた場合は、修正申告も更正の請求も要りません。作り直した申告書を期限までに提出すれば、それが正式な申告書になります。これが訂正申告です。e-Taxで申告した方は、e-Taxで出し直せます。
最初の申告の還付金がすでに振り込まれている場合は注意です。出し直しで還付額が減ったり納付になったりするときは、すでに還付された分との精算が必要になります。
実務でよくある「気づき方」
相談で多いのは3つです。控除証明書が後から出てきた——国民年金や生命保険料、小規模企業共済の証明書が、毎年のように出てきます。支払通知の金額が申告と違った——支払調書と売上帳が合わない。経費の入力もれ——年をまたいで届いた請求書。
控除もれと経費もれは税金が減る方向なので更正の請求。売上もれは増える方向なので修正申告です。
そもそも申告していなかった場合は、どちらでもない
どちらも「一度申告している人」の手続きです。申告そのものをしていなかったなら、まず期限後申告になります。こちらは過少申告加算税ではなく無申告加算税の世界です。詳しくは確定申告の期限が過ぎたら?無申告加算税と延滞税、自分から申告すれば5%にまとめました。
よくある質問
修正申告と更正の請求を、同時に出すことはありますか
いいえ、どちらか一方です。売上のもれと経費のもれが同時に見つかったときは、両方を反映させた結果で判定してください。
住民税や国民健康保険料も直さないといけませんか
住民税は、ご自身で手続きする必要はありません。所得税の確定申告書は地方公共団体へデータで送信され、住民税や事業税の税額は都道府県や市区町村が計算して通知する仕組みになっています。修正申告や減額更正の結果も、同じ流れで住民税に反映されます。国民健康保険料も所得の情報をもとに計算し直されるのが一般的ですが、反映の時期や必要な手続きは自治体によって運用が異なりますので、気になる場合はお住まいの市区町村にお尋ねください。
更正の請求が認められなかったら、どうなりますか
更正をすべき理由がない旨の通知が届きます。納得できない場合は、その通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に、税務署長への再調査の請求か、国税不服審判所長への審査請求ができます。
マネーフォワード クラウド確定申告
申告のあとで直すときは、元の申告データが手元に残っているかで手間が大きく変わります。過去の年分の申告書を開いて再編集できるか、e-Taxで送信した履歴や受信通知をどう保存できるか、料金を公式サイトで確認してください。
おわりに
申告のあとで間違いに気づくのは、珍しいことではありません。制度のほうが最初から「直せる」前提で作られています。税金が増える方向なら、事前通知が来る前に自分から出せば加算税はかかりません。減る方向なら、5年という時間があります。どちらに動くか分からないときは、いったん正しい数字で申告書を作り直してみてください。
Xでも税金とお金の話をつぶやいています。よければ@tax_kiichanものぞいてみてください。
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※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。
