確定申告の期限が過ぎたら?無申告加算税と延滞税、自分から申告すれば5%

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こんにちは、税理士のきいちゃんです。

「確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう手遅れですか?」

手遅れではありません。期限を過ぎたと気づいた時点で、できるだけ早く自分から申告する。これがいちばん負担の軽い進め方です。税務署から連絡が来てから動くのと、自分から動くのとでは、上乗せされる税金の率がはっきり変わります。

期限後に出した申告書も「期限後申告」として受け付けてもらえます。以下は2026年8月時点の制度で整理しています。

無申告加算税は「誰が先に気づいたか」で率が変わる

期限に間に合わなかったときに本来の税金へ上乗せされるのが、無申告加算税です。率は、申告したタイミングで段階的に決まります(令和5年分以降)。

無申告加算税の率

  1. 税務署の調査の事前通知より前に、自分から期限後申告をした場合……納める税金の5%
  2. 事前通知の後、調査で決定されると分かる前に申告した場合……50万円までの部分10%、50万円超300万円までの部分15%、300万円を超える部分25%
  3. 調査を受けた後に申告した場合や、税務署から決定を受けた場合……50万円までの部分15%、50万円超300万円までの部分20%、300万円を超える部分30%

たとえば納める所得税が30万円だったとして、連絡が来る前に自分から申告すれば5%の1万5,000円。調査を受けた後だと15%の4万5,000円です(いずれも端数処理を考えない単純計算)。同じ税額でも3倍違います。動く順番だけでこれだけ差が出るので、迷っている時間がもったいないんです。ちなみに調査で実際に何を見られるのかは、税務調査は何を見られるのかのほうで書いています。

さらに、上の2と3のケースでは、前年分と前々年分の所得税について無申告加算税や重加算税を課されたことがある(または課されるべきと認められる)場合に、10%が加算されます。繰り返すほど重くなる作りになっています。

延滞税は「遅れた日数」で増えていく

無申告加算税とは別に、納付が遅れたことに対してかかるのが延滞税です。こちらは率が一定ではなく、年によって割合が変わります。

令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降は年9.1%です。令和4年から令和7年までは年2.4%と年8.7%でした。1年ごとに見直されるので、計算するときは必ずその年の割合を国税庁のページで確認してください。

延滞税は法定納期限の翌日から、納付する日までの日数で計算されます。期限後申告の場合、納期限は「申告書を提出した日」です。つまり提出したその日に納めるのが原則で、そこからさらに2か月放置すると年9.1%の区間に入ります。30万円を60日遅れて納めた場合、年2.8%で単純計算すると約1,400円。日数が短いうちは大きくありませんが、放置して高い割合の区間に入ると効いてきます。

1か月以内なら、無申告加算税がかからないことがある

知っておいてほしいのがこれです。期限後申告でも、次の要件をすべて満たせば無申告加算税はかかりません。

きいちゃんメモ

(1)法定申告期限から1か月以内に、自主的に申告している。(2)納めるべき税金の全額を法定納期限までに納付している(口座振替の手続をした場合は、期限後申告書を提出した日まで)。(3)申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、この不適用の扱いも受けていない。

令和7年分の申告期限は2026年3月16日でした(3月15日が日曜だったため)。この年分なら、申告書の提出は2026年4月16日までに間に合っていることが条件です。ただし納付は別で、税金の全額を法定納期限の2026年3月16日までに納めていることが必要です(振替納税の手続をしている場合は、期限後申告書を提出した日までに納付)。「申告だけ4月に出した」というケースは要件を満たしませんので、ここは分けて考えてください。

青色申告特別控除は10万円まで下がる

加算税や延滞税より、影響が大きいのはむしろこちらだと感じています。青色申告特別控除の55万円(e-Taxでの申告または電子帳簿保存なら65万円)は、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付した申告書を申告期限までに提出していることが要件です。

期限後申告になると、この満額は使えません。残るのは10万円の控除です。65万円が10万円になると差は55万円。所得税と住民税をあわせて税率20%くらいの方なら、それだけで10万円以上の増税になります。加算税の1万5,000円よりずっと重いんです。

還付申告なら、5年さかのぼれる

一方で、納める税金がなく還付を受けるための申告(還付申告)は扱いが違います。その年の翌年1月1日から5年間、提出できます。医療費控除や住宅ローン控除の初年度、年の途中で退職して源泉徴収されすぎている場合などですね。

「去年の医療費、申告し忘れました」というご相談は毎年いただきますが、還付申告なら慌てなくて大丈夫です。ただし、還付申告であっても青色申告特別控除の55万円・65万円を使うには申告期限までの提出が必要、という点は変わりません。

期限に追われない仕組みを先に作る

期限に間に合わない方の多くは、期限を忘れていたのではなく、帳簿がまとまらなくて動けなかった、というパターンです。1年分の領収書と通帳を2月から触りはじめると、まず間に合いません。

会計ソフトを使って口座やカードの明細を自動で取り込み、月に一度でも整えておくと、この詰まり方はかなり減ります。マネーフォワード クラウド確定申告や弥生のような、明細の自動取得から青色申告決算書の作成、e-Taxでの提出までひと続きでできるものが向いています。「毎年3月に徹夜する」を卒業したい方は、来年分の記録から始めてみてください。何から手をつけるかで迷ったら、フリーランス1年目の確定申告、最初の3ステップのほうに順を追って書いています。

よくある質問

納めるお金が今すぐ用意できません。申告だけ先に出していいですか。
出してください。申告を遅らせても延滞税は止まりませんし、自主的な申告として5%の率が適用されるかどうかは、申告のタイミングで決まります。納付が難しい事情があるときは、所轄の税務署に相談すると分割などの手続きを案内してもらえます。

何年も申告していません。どこから手をつければ。
古い年分から順に、というより、まず全体で何年分あるかを把握するところからです。年分ごとに税額と加算税・延滞税が計算されます。1人で抱えると止まってしまうので、税理士か税務署に早めに声をかけてください。

マネーフォワード クラウド確定申告

期限を過ぎてからの申告は、1日でも早く出すほど負担が小さくなります。手が止まる原因が「帳簿がそろっていない」ことなら、銀行やカードの明細を取り込んで仕訳の下書きを作れるか、決算書の作成からe-Tax送信までひと続きで進められるかを、公式サイトで確認してみてください。

おわりに

期限を過ぎたことに気づいた日が、いちばん条件のいい日です。翌日になれば延滞税が1日分増え、税務署から連絡が来てしまえば率が上がる。逆に言えば、今日動けば今日の条件で終われます。放置している期間がしんどいだけで、手続き自体は思っているより淡々としたものです。

お金と税金の話は、X(@tax_kiichan)でも日々つぶやいています。よかったら覗いてみてください。

※本記事は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく一般的な情報提供です。延滞税の割合は年によって変わり、加算税の率も改正されることがあります。実際の税額や個別の税務判断は、税務署または税理士にご相談ください。